
別にそれ「RT感覚」ではなくない?~堀本和歌子氏のなりすましビラ~:ロマン優光連載224

ロマン優光のさよなら、くまさん
連載第224回 別にそれ「RT感覚」ではなくない?
~堀本和歌子氏のなりすましビラ~
TwitterのRT機能というのは便利なものです。TLに表れた何か価値のあると思った情報、価値のあると感じた発言を世間に広く拡散することができるというのは、凄い機能だと思いますよ。
あれのいいところは簡単なところ。自分の得た有意義な情報をつたえるのに、伝えやすく内容をまとめたり、文章を練ったりしなくても、簡単な操作でそのまんま世間に伝えたりできる。
便利な一方で非常に安易な使い方もできるわけで、意地の悪い言い方が好きな人からは「指先ひとつで何かやったような気分になれる」みたいに言われたりもするわけですが、まあ機能が悪いわけではなく使う人間の心の持ち方とか自制心とかそういう話です。
事件当時、日本維新の会所属で福岡市議を務めていた堀本和歌子氏が、次の市議選でライバル候補と見なされる新開裕司氏(参政党、自民党時代に衆議院議員経験あり)の自民党所属時代の旧統一協会との関係を新開氏自身が誇示して発言しているようなビラを作成してこっそり配布していた件。本人が言ってるみたいな内容だったので、なりすましとみなされて、単に怪文書をばらまいたということだけでなく、その点も批難されています。
そのことについて、堀本氏はRT感覚だったと弁明しているわけですけど、何か無理ありますよね。
RTというのは指先ひとつで簡単にできるから、みんなやってるわけですよ。しかし、一人でビラを作成して、夏の暑いさかりに長袖を来て一人であちこち配ってまわるとか非常に大変な作業なわけで、全然RT感覚でやれることではない気がします。わざわざ正体がわからないような格好、いわば変装をしてまでポスティングして回ってるわけですから、本人も悪いことだとわかっていたんじゃないかと思いますし、それをRT感覚とか変でしょ。
「新開氏と旧統一協会との関係を世間に広げたかった、ようは拡散したかった。拡散といえばRT。だからRT感覚と言いました」みたいな話だったのでしょうか?
まあ、思い付きで「RT感覚」とか適当なことを言って誤魔化そうとしたのか、本気であれをRT感覚だと思っている不思議な感覚の人なのかはわかりませんが、どちらにしても、政治家としてはあまり向いてない人ではないのかなと感じます。
怪文書をまいて対立候補にダメージを与えようとした行為を「RT」という言葉を意図的に使って行為自体の問題を矮小化しようとしているなら悪質な人です。政治家としてはどうなのか疑問になります。
本気でRT感覚だと思ってたら、そういう不思議なセンスは一般の感覚と離れすぎていて、やっぱり政治家としてはどうなのか疑問になります。
なんであれ、どっちでも困りますよね。まあ、こういう場合、どちらなのか追求していくと両方を兼ねてたということはよくあることですけどね。
はっきりしてるのは「RT感覚」という言葉に対して意味はないということです。たいていの人は「なに適当なことをいってんだ」ぐらいにとらえてるでしょうし、それで正解なんだと思いますよ。
それをインターネットの闇が現実社会にみたいな論をたてたりして本気で考察する人がいるとするならば、「あんな発言はまともに相手にするようなもんじゃないですよ」と言いたいですね。
そういえば、新開氏の話なんですが、自民党時代は日韓トンネル激推しだったり、かなり付き合いが深かったようにとれます。それを今は旧統一協会と関係ないから問題はないといった弁明をしていますが、本当に現在関係ないとしても、自民党を離れた氏と関わるメリットがなくなったから旧統一協会の方から離れていっただけで、新開氏の方から関係を絶ったわけではない可能性があるわけで。今関係ないからといって、問題を感じたり、責任を感じたから離れたんでないなら、あんまり意味がない気はするのですが。
維新と参政党の争いという時点で何だか変な気分になったわけですが、見れば見るほど変な気分になる出来事でした。
(隔週金曜連載)
【編注】:RT=リツイート、TL=タイムライン
写真は福岡市議会HPより堀本わかこ紹介ページ (部分。現在は元市議。※ページも現在は削除されている)
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