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    実話BUNKAタブー2020年12月号

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サブカルチャー 2017.03.31(金)

『けものフレンズ』で号泣:ロマン優光連載80

 

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第80回 『けものフレンズ』で号泣

 よかった、本当によかった。誰一人欠けることがなく、旅は続いていくんだ。なんだか、涙が止まらない。かばんちゃんとサーバルちゃんの友情と旅はまだまだ続いていくんだ…。

 まあ、アニメ『けものフレンズ』の最終回を見終わった感想が上になるわけですが、いやー、ほんとに良い最終回でしたね。まあ、ここで第一話の悪口をいったり、誰だって思いつくようなどうでもいいSF考証とかすればPV数が伸びるんでしょうけど、そんなことよりハッピーエンドに終わって、よかった、よかった。Twitter上で『HiGH&LOW』について近い見方、近い楽しみ方をしている人の何人かが『けものフレンズ』にはまっていて、「あの人たちが面白いと言うなら見てみよう。」と思っていたところ、編集氏からお題としてふられて本当によかった。たまには、あの人も楽しいお題をふってくれるものですね。

 フレンズという動物が人間の少女化された存在が住んでいるジャパリパークという土地に突如あらわれた自分が何の動物かわからない少女・かばんちゃんと、彼女と最初に出会ったサーバル・キャットのフレンズ・サーバルちゃんが、かばんちゃんが何の動物なのかの答えを探して一緒に旅をするというのが基本のストーリー。かばんちゃんとサーバルちゃんの2人(プラス謎のロボット・ボス)が旅先でその土地の住人がかかえる色んなトラブルと遭遇し、かばんちゃんの知恵とサーバルちゃんの行動で解決していくという一話完結のほのぼのと楽しい物語と、この世界とかばんちゃんの謎が少しずつ解き明かされていくハードな展開が平行して存在しているわけです。
 私は第一話でボスが今まで他のフレンズとは会話をしなかったのに、かばんちゃんとだけ会話をした時点で凄く不安な気持ちになりました。明らかに人工物であるボス(フレンズは道具をつくれません。)がかばんちゃんにだけ反応するということは、かばんちゃんは人間(かばんちゃんは道具がつくれる存在であることが冒頭で既に示唆されています。)であるという理由からではないか。サーバルちゃんがかばんちゃんを見て人間だとわからないのは、この世界に人間がいないからではないか。もしかして、かばんちゃんはこの世界の住人ではなく、ジャパリパークから出て行くことになるのではないか。だとしたら、これから始まる2人の旅が楽しければ楽しいほど寂しくなってしまうのではないか。そんなことを思ったのです。
 旅が主軸に据えられた物語の終わりというのは2つしかありません。「旅はまだまだ続く」か、「旅の終わりによる別れ」しかないのです。かばんちゃんが別の世界(土地)の住人だとしたら、その世界に戻るという選択肢が選ばれる可能性は非常に高いではないですか。第一話からそんな可能性を匂わされたらツラいじゃないですか。「ジャパリパークは不思議な夢の国じゃなくて、何かハードな現実が潜んでいるディストピアの可能性があるとか本当にツラい」と感じたのを思いだします。
 土地土地で、かわいくて個性的なフレンズたちと出会いながら続いていく、かばんちゃんたちの楽しくほのぼのとした旅が描かれる一方で、ジャパリパークの謎に関するヒントが徐々に提示されていくわけですが、それがどう考えても悲劇的な真相が明らかになりそうな予感しかしない。各話のエピソードが楽しいだけに、なんともいえない緊張感が漂ってくる。かばんちゃんたちの旅と並行して、かばんちゃんたちを追跡しているアライグマのフレンズ・アライさんとフェネックのフレンズ・フェネックの2人組の旅が第一話から描かれており、二組はなかなか出会うことがありません。謎のヒントは、アライさんパートで示唆されることも多く、かばんちゃんたちが知らないところで不安になるような情報が飛び交います。アライさんがジャパリパークの謎を知ってるのではないかというようにもとれる描写もあり、それでまた見てるこちらとしては不安になったり。まあ、アライさん自体はかなりのポンコツでかわいい限りなのですが。かばんちゃんたちと対をなすようなアライさんたちの存在は物語の仕掛けとして大きな役割をおっていたように思います。

フレンズは仲間を見捨てない

 11話で今までの平和な空気が嘘のようにハードな展開が始まってしまった時は、本当に不安になりました。想像する限りの最悪の事態がおこってしまいそうで…。それを最終話で提示されてきた伏線を見事に回収し、『Gガンダム』や『うしおととら』の最終回を思わせる熱い展開を盛り込み、ハッピーエンドに終わらせたたつき監督は本当に素晴らしいと思います。一部解き明かされていない謎もありますが、あの世界の住人が現時点で知りうることのできるものに関しては全て回収されていると思うので、個人的には全然OKです。
『けものフレンズ』は最初から丁寧に伏線を張ってきた作品ですが、低予算ゆえに少人数で制作されてるためか、制作者が意図していないかのように思える変な部分もたびたび見受けられます。あえてミスリードするために張られた伏線と、偶然生まれてしまった奇妙な部分がうまいこと混ざり合って、視聴者が様々な方向に上手いことミスリードされていったのかなという気がします。
 ギミックとして設定上の謎が組み込まれた作品は時として謎自体が主体になってしまってるものも少なくありません。しかし、『けものフレンズ』では謎はあくまで2人の友情物語を際立たせるための舞台装置に過ぎず、やっぱり、メインのテーマはOPの歌詞にある通りに「けものはいても のけものはいない」ってことだと思うのですよ。フレンズは仲間を見捨てないということなのです。何を言ってるかよくわからないと思いますが、人間が人間らしく生きていく上でとっても大切な何かが、この作品には詰まってるのです。
 確かに低予算で制作され色々と欠点も多い作品です。しかし、賢ぶった奴らが「糞コンテンツをみんなでいじって遊んでるんでしょ」とか言うのは、絶対に違うと言い切れると思ってます。ハイローもそうでしたが、欠点は確かに色々あるけれど、それを上回る良いところがある作品なのです。10点満点で5項目あるとしたら、全項目7点みたいな作品より、私は他が2点3点でも1項目だけでも10点取ってるような作品の方が断然好きなんですよ!
 作品の内容自体について色々言いたいことはありますが、まだ最終回を見られてない地方の人がいるので、とりあえずこの辺で。とにかく、『ようこそジャパリパークへ』という曲が単なる楽しそうな曲から、聞く度に胸の奥から熱いものがこみ上げてくるような曲に変わってしまったのは確かなことなのです。

(隔週金曜連載)

図版:けものフレンズ/ロゴ

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★ロマン優光がサブカルの定義に鋭く斬り込む異色作★
『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』/ロマン優光(コア新書/コアマガジン)
http://books.rakuten.co.jp/rb/14537396/

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【ロマン優光:プロフィール】

ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

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http://mensbucchi.com/rensai-bn/20160322204147 (コピペして検索窓に)


 


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