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    連載 小田嶋隆/小田原ドラゴン/白石和彌/デーブ八坂/適菜収/堀江貴文/松子/ロマン優光 他

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グラビアギャラリー
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サブカルチャー 2016.06.10(金)

サブカル対オタクについて:ロマン優光連載59

 

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第59回 サブカル対オタクについて

 定期的にTwitterで盛り上がる話題と言えば「サブカル対オタク」。最近では、町山智浩氏による「サブカルとオタクは本来繋がったものであり、サブカルとオタクの対立の歴史はオタク・アミーゴスによる捏造」説と、それに対する田中雄二氏による「サブカルとオタクが繋がっているというのは一部の文化エリートだけの話。対立は実際にあった。」から「町山さんはサブカルじゃなくオタク。」へと流れていく一連のツイートが盛り上がってたような気がします。町山さんが言うサブカル(いわゆる90年代的な「サブカル」)と田中さんの言うサブカル(本来の意味でのサブカルチャー、及びサブカルチャー愛好家)の指すものが違ってたりするので、全く違う話をしてる感じになってましたが。本題には関係ないですが、田中氏のいう「町山さんの音楽話はいい加減。」という指摘。町山さんはTwitterやトークみたいなリアルタイム性が強いとこだと勢いで話を盛り気味なので割り引いて聞いたり、読んだりしないととは私も思います。

 私が中高生だった時代、「サブカル」という言葉はなかったし、「おたく」という言葉の意味も違ってました。
 当時、私が同学年の中でどういうグループに属していたかというと、アニメファン五、六人。アニメと鉄道が一人。特撮ファンのアウシタンが一人。ガロ系のマンガやフールズメイト的な音楽や映画を好む人一人。アニメ、特撮、プロレス、アイドル、SF、パンクやフールズメイト的音楽を好むローディストの自分。それに、ただの凄い変わり者で極端なものだったら何でも食いつく狂気じみた人が一人。こんな感じだったように記憶してます。
 私たちの界隈はわかりやすく言うと、成績が悪かったり、スポーツができなかったり、言動がエキセントリックだったり、見た目が酷かったりする人間で構成されたマニアのグループで、スクールカーストの最底辺に属してる感じです。このグループ以外にも同学年でアニメファンとか、今で言うオタク趣味の人たちもいましたけど、その人たちは、見た目がちゃんとしてたり、成績が良かったり、スポーツが得意だったり、言動が常識的だったりするので別口扱いで身分が低いとかはなかったですね。
 現代の感覚でいえばいかにもなキモヲタ・グループですが、私たちは自分たちを「おたく」だなんて思っていませんでした。私たちが「おたく」という言葉をつかう場合、明らかに気持ち悪い性的なところ剥き出しの二次コン、ロリコンだったり、コミュニケーションがとれないくらい異常な人物だったり、「マニア界隈(今でいうオタク)に生息する異常者」を指す言葉として使用してました。マニア界隈以外の人は「おたく」なんて言葉なんて知らないので、バカにされてはいても、自分たちがおたくよばわりされることもありませんでした。宮﨑勤事件が起こるまでは。私たち、(及び、別口と見なされていた彼らも)、私たちが忌み嫌っていた「おたく」という異常者をさす称号で呼ばれることになってしまったのです。本当に不快でしかなく、自分たちは「おたく」ではないという主張を繰り返したものの、世間に勝てるはずもなく、ネガティブなイメージだった「おたく」という言葉に捉え直そうというマニア内の動きもあって、自分が「おたく」であるという名乗りを便宜上しぶしぶ受け入れるようになるのは後の話となります。サブカルチャーという言葉はありましたが、「サブカル」という言葉はまだありません。
 こうやって、自分の学生時代を振り返ると、私の学校の私の学年では、一つの界隈でサブカル趣味の人とオタク趣味の人が普通に共存してたのがわかります。争いがなかったわけではありません。アウシタンとローディスト、アニメと特撮などという、喧嘩というかバカにしあいはよくありました。まあ、こんなのは同じ種族の中での内ゲバで、別種族が対立していたという感じじゃ全然なかったですね。私も、自分はサブカルチャー趣味のマニア(おたく)という自己認識しかなかったのです。
 これは私の個人的体験で、ネット普及以前は各人がガラパゴス島に住んでるようなもんで個人的体験のバラつきは激しく、同年代でも地域や学校によっては全然違う話が出てくると思いますが、80年代においては、あまりそんな全面的な対立はなかったのではないでしょうか? 基本的にはみんな同じマニアだったのですから。サブカルチャーの人がマニアの人をバカにしてたというのが場所によってあったのかもしれませんが、自分たちのとこは同じ種族の人間がやってたことなので対立できなかったのです。

最初はアングルでしかなかった

 宮﨑事件以降、オタ卒した人対オタクみたいなのは周りではありましたね。オタ卒した人の方が、最初からそんな趣味ない人より攻撃的なんですよね。そうすれば、自分の恥ずかしい過去を消し去れると思いこんでるぐらいの勢いで。そういう人たちの中には、オタ卒したけどサブカルチャー趣味を続行している/新しく始めた人たちが当然いたわけで、「サブカル対オタク」のアングルのルーツの一つになったのかもしれませんね。
 アングルと書きましたが、「サブカル対オタク」と言うのは最初はアングルでしかなかったと思うのです。90年代以降、実際に色んな局面で色んな対立はあったのです。それを上手いこと繋ぎ合わせ、2つの種族の対立の歴史を煽り、業界の党派的に対立してる界隈を敵側にのっけて、自分たちの正義を訴え、支持を集めて利権を獲得したのがオタク・アミーゴス界隈のような気は確かにします。サブカルとオタクの対立の歴史があったというより、自分たちが気に食わないものをサブカルという枠に押し込めたというか。昔、知人とオタキングさんとの間にトラブルが起こり、知人が抗議したことがあるんですけど、その後「サブカルは○○である」とその知人の特徴を原稿に書いて攻撃してたことがあり、「あの人、気に食わない奴は本当にみんなサブカル扱いなんだな。」と思いました。よく考えてみるとオタク・アミーゴスの中でも唐沢先生の仕事なんかは古本発掘と面白雑学でどちらかというとサブカルな仕事で、それがなぜオタクかというとオタキングさん側の人間だからですよね。と学会方面の一部と、宝島30の編集者時代の町山さんとの間で何らかの対立が生まれ、その業界内の個人的な関係性を個人的な感情とビジネス的要因から全体的な問題にすり替えた、そこがサブカル対オタクの線引きの原点であるのは間違いないと信じてますが、どうなんすかね。

「おたく」がマニア界隈の問題がある人を指す蔑称だったように、私の周辺ではかって「サブカル」を「サブカルチャーの周辺をウロウロするミーハーで浅はかで気取ってるいけ好かない人」の意味で蔑称として使っていました。言葉の本来の意味で考えると、「キモイ異常者対ミーハーでいけ好かない気取った奴」になるわけで、そりゃ仲良くなりそうにないですね。ま、そんなことはどうでもよくて、「サブカル」も「オタク」も、時間や界隈によって言葉の意味が激しく変わる言葉、使用している人がどの意味で使ってるかわかりにくいので、実はTwitterで語るのは凄く向いてないテーマなのでは…。そういうわけで、そろそろ誰かちゃんとした人がサブカルとオタクの対立の歴史に関する正史を編纂してほしいものです。

<隔週金曜連載>

写真:ふぁんろーど1982年1月号(ラポート)

【ロマン優光:プロフィール】

ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。

おすすめ書籍:「日本人の99.9%はバカ」/ロマン優光(コア新書)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13104590/

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

連載バックナンバーはこちら
http://mensbucchi.com/rensai-bn/20160322204147 (コピペして検索窓に)


 


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