
我慢の美学:杉作J太郎「美しさ勉強講座」連載16

軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太郎先生の「男の偏差値がぐんとアップする美しさ勉強講座」
16時限目・我慢の美学
ぼちぼち第一章が終わりに近づいてきたな。
ここまでの部分で言っておくことは記せたような気がするな。
つまりだね、問題は願望が達せられなかったときにどういう状態でいることができるか、ということなんだな。
女の子に告白したけど受け入れてもらえない。
入社試験を受けたけど落ちてしまった。
スポーツでいい成績が残せない。
働いても働いてもお金が貯まらない。
あるよ。親が病気で入院してて、弟がいて妹がいて月々の家賃や支払いがあって。珍しい話じゃない。珍しい話だと思うひとがもしもいたらぼけてるね。よほど自分の好きなものに囲まれて平々凡々生きてるんだろう。それ自体は悪いことではないが自分は恵まれているんだということだけは忘れないほうがいいね。
世の中、うまく行ってないほうが多いんだ。
忘れないでほしい。
うまく行くことのほうが多かったら、夜空を見上げてごらん。たくさん星が輝いてるけど、その半分以上に生命があり、なにがしかの暮らしがあるだろうね。
うまく行くことなんて珍しいんだよ。それは記憶の中にもあっていいんだね。何億という兄弟がいて、精子だね、命として辿り着いているのは何億分の1だからね。
ピンと来ないなんて言わないでほしいな。
そうして生まれてきてるんだから。
得難いことなんだね。
凄いことなんだよ、俺が言わなくても。
その命を守るということは尊いことなんでね。弟さん、妹さん、親やおばあさんおじいさん、見も知らぬひとのために頑張ってるひともきっといるね。誰かの命を守るために頑張ってるのは意味のあることなんだよ。
だから働いても働いてもお金が貯まらない。
そういうことはきっとある。
でもそこで。
思ったようにならないとき。
願望が達成されないとき。
自分だけが幸せではないように思えるとき。
そこでどういう気持ちになるかということなんだな、美しく生きられるかどうかというのは。
第一章の結論を言うとね、それは我慢なんだよ。
がまん。
ガマン。
我慢。
自分の思うようにならなかった、そのときに、我慢できるかどうか。
自分は頑張った。でもこの結果はどうだ。この仕打ちはどうだ。なぜこんなひどい目にあわなければならないのか。
そこで、我慢できるかどうか。
要はそこなんだね。
泣き寝入りしろというんじゃないんだね。
厳しい年貢を取られても餓死しても働けというんじゃないんだね。
まず、我慢しなければなにも始まらない。
怒って、ぶち切れて、暴れて、それはなにも始まらない。
終わるだけだね。
世の中、たいていのことは思ったようにならないのでいちいちぶち切れてたらぶち切れるだけで人生終わってしまうからね。
マラソンで2位になったランナーがゴールでぶち切れたらどうかな。
総選挙で柏木さんがぶち切れたらどうかな?
パチンコ屋でお金がなくなってぶち切れたらどうかな?
道歩いててカラスの糞が頭に落ちて。
風邪をうつされて。
お金を落として。
彼女に逃げられて。
泥棒に入られて。
彼女の部屋で男と鉢合わせて。
ネズミが出て。
火事になって。
車にはねられて。
ぶち切れてる場合ではないんだよ。
むしろ、それどころじゃないということなんだ。
次回、第一章ラストになると思うので見逃さないように!
(つづく)
<隔週金曜連載>
【杉作J太郎:プロフィール】
すぎさく・じぇいたろう
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める男の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
おすすめ本:宇宙刑事ダイナミックガイドブック(杉作J太郎・編)(徳間書店ハイパームック)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13082203/
おすすめ本:東映スピード・アクション浪漫アルバム (杉作J太郎、 植地毅)(徳間書店)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13334829/
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