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    ●『ロマン優光の好かれない力』は「我々はなぜ小室圭さんに魅了されてしまうのか」

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サブカルチャー 2015.05.30(土)

イニミニを考える:ロマン優光連載32

 

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第32回 イニミニを考える

 イニーミニーマニーモーというアイドルグループが2015年5月18日をもって、メンバーの中村彩(あもちゃん)、橋本まみ(まみちょん)両名の同時卒業により事実上永遠に凍結されることになった。昨年5月の無期限活動休止宣言の事実上の解散宣言から5ヶ月後に事務所移籍を経て奇跡的に電撃復活。そこからのメンバー全員卒業による事実上の解散。中村彩は引退。橋本まみは芸能活動続行。こんどこそ約4年間の活動に終止符が打たれることになった。
 彼女たちは常に間違った時に間違った場所にいることを余儀なくされたグループだった。去年の活動休止宣言の時に彼女たちを知る人の多くの脳裏を横切ったのは「ようやく風が吹く可能性がでてきた。これからという時なのに…。」だっただろう。数少ないレパートリーで毎日のように膨大な量のライブを要求されるような環境の中、日々のライブにバリエーションをつけるために経験則から産みだされた、ステージとフロアーを縦横無尽に使い、客に顎がずれるほどのビンタや蹴りをお見舞いするような独自のステージングは当時突出したものがあったと思う。楽曲的にも、ポストももクロ的高圧的アイドルソングの傑作『アンポンタンプンチンプンカンプン』に続いて、ブラジリアン・テクノ・チューン『イニミニDEじゃ音色』、NWテイスト溢れるミニマル曲『風の音を感じて』、正統派アイドルソング『柵をすり抜けてもっとスカートをひらりさせて余裕で飛び回ってみせるの』といったバラエティに富む楽曲群が次々と提供され、非常に充実した時期だったし、叩き上げの彼女たちでなければ、そのバラバラなテイストの楽曲を上手く乗りこなして統一感のあるステージを作り出すことができなかっただろう。グループ内も、楽曲的にも充実し、知らない人たちに対して十分フックのあるステージングもある。今なら、売れるかどうかなんてわからないが、(たとえば小池美由のように)売れるかも知れないと思う人を引き集められる場所にまではたどり着けるかもしれないと本気で感じていた。そんな矢先の活動休止宣言だった。本当に間が悪いのである。
 二人の将来のことを考えれば、確実かわからない可能性に向かうよりも、ここで終止符を打つのが正解だったのだろう。そう思って、全て受け入れようと思った。というか、ヲタクなんか受け入れることしかできない。同時に解散ではなく活動休止なのだからいつの日にか活動再開があるのではないかというささやかな希望はいつも胸にあった。そんな中、5ヶ月後の10月に事務所移籍による復帰宣言。アイドルヲタクなんていうものは現場がなくては生きていけない生き物。5ヶ月というのは、ヲタクが新しい居場所を見つけるには十分過ぎる時間。本当に間が悪いのである。そして、移籍先の事務所というのが、以前からのファンに10人聞けば10人とも「あそこだけはやめて! 」と言っただろう、イニミニの元からのヲタクにとってノリがあわないような事務所だったことも再始動に微妙な影を落とすことになった。

5ヶ月間の休止が産んだ不運

 再開直後はご祝儀的に人が来ていたものの、今の現場を優先させたり、新しい界隈に馴染めなかったりといった理由でだんだん人が来なくなった。対バンのほとんどが「なぜ、こんな子をアイドルにしてしまったの…」としか言えないようなグループ。 たまに良いグループだなと思える対バンがいても、少女閣下のインターナショナルのように、あっという間により広い場所に出て行く。大人の事情なのか、以前の事務所に属するアイドルと対バンすることがなくなり、人の目に触れるような広めの会場や大きめのイベントには出演しなくなる。やるのはアイドルがライブをやるには本当に不適切な小さく汚い小屋ばかり。 同じ事務所の他のアイドルのヲタクとはノリが合わなさすぎる。実際、自分も行くのがツラい時が何度もあった。来なくなった人は仕方ないと思う。
 5ヶ月間の休止の間に『TRASH-UP!!』誌が主軸をアイドルに据えるようになり、その間休止中だった本来だったイニミニは『TRASH-UP!!』誌が好むであろうタイプに関わらずそこに見つかることもなかった。休んでる間に、フロアーを使ったり客を蹴るようなアイドルの数も増え定着していった。イニミニはそことも絡むことはなかった。以前の持ち曲の一部の使用ができなくなり、ステージのバリエーションの幅が狭まった。特に客を巻き込む部分で大きい役割を担っていた『イニミニDEじゃ音色』ができなくなったことは大きなダメージがあったと思う。もし活動休止することなく続けていれば違った未来があったような気がする。でも歴史にIFはない。ただただ本当に間が悪いのだ。

 ただ、どんなに環境が変わってもイニミニのライブの楽しさだけは変わらなかった。自分はあの空間が大好きだったし、あの二人が大好きだった。それなりに新規のヲタもできた。劣悪な環境の中で二人が楽しくなさそうに見えた時もあったけど、二人は相変わらず遊び心を忘れずに二人のパートをこっそり入れ替えたりして楽しむ努力を忘れなかった。二人がどこまで続けられるかわからなかったし、自分もどこまで続けられるかわからなかったけど、その場を楽しむことだけが重要だった。あもちゃん引退、まみちょん卒業の知らせがあったのはそんな矢先だった。
 そして迎えたラストワンマン。本当に楽しかった。悲しい気持ちのかけらもわいてこなかった。ただただ楽しかった。あの時間が永遠に続いたらどんなに幸せだっただろう。
 イニミニが好きだ。あのたちの悪い、ちびっこギャング二人組が好きだ。リアル下妻物語みたいなあの二人組が好きだ。あのロリ風だけど本当は背が低いだけで大人の美人顔の二人が好きだ。気っぷがいいけど、繊細で、現金なところがある、頭が良いけど勉強嫌いな、ヲタクが嫌いなくせにヲタクに優しい、田舎のヤンキーみたいなあもちゃんが好きだ。(あもちゃんにはキモいしか言われなかったけど、いつもちゃんとした話をしてくれていて、会えなくなるのがすごく信じられない。頭が良くて優しい子だけど、思いつきで行動するところがあるので心配です。)自分のことが大好きで、常に悪いことばかり言ってる、そのくせ人に甘えるのはやたら上手い、あざとくて、本気のキモヲタのまみちょんが大好きだ。
 まみちょんからもらったラストワンマンの時のチェキに「これからもよろしく」と書かれていた。まみちょんは信じて待てと言う。いつになるのか、それがどういう形なのか、アイドルなのか、そうでないのか、何もわからない。ただ、自分はまみちょんを信じればいいだけだ。それならば、少なくとも自分はまみちょんの次のステージの始まるまでの間は「まみのロマンちゃん」でいられるはずだ。
 変わらないものというものなんかこの世にはなくて、瞬間瞬間の積み重ねだけが永遠という存在に限りなく近づいていける。変わらない気持ちなんかないけど、瞬間瞬間好きになればいいだけだ。先のことはわからないし、自分がいつまでまみちょんが好きかなんかわからないけど、今この瞬間、俺はまみちょんのことが好きだし、何度でも好きになればいい。そして、これからも、まだまだ続いていく。

【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っている。好きなアイドルは、イニーミニーマニーモー。

おすすめ書籍:「日本人の99.9%はバカ」/ロマン優光(コア新書)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13104590/

『日本人の99.9%はバカ』購入特設ページ
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連載バックナンバー(最新10件)はこちら
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オススメCD:「らぶりんすたいむ」イニーミニーマニーモー(ラッツパック・レコード株式会社)
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