
それでも観たくてたまらない、松嶋菜々子:ドラァグクイーン”エスムラルダ連載29

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」
連載第29回:それでも観たくてたまらない、松嶋菜々子
昨年あたりから「テレビマンが選ぶ『使いたくない女優』ナンバー1に選ばれた」「四面楚歌状態になっている」など、イマイチいい話が聞こえてこない松嶋菜々子。もともと現場での態度が悪かったり、写真修正の要求が厳しかったりするうえに、松嶋家(というか、反町家?)の飼っているドーベルマンがマンションの隣人に噛みついた事件や、『家政婦のミタ』(日テレ)続編のオファーを断り、しかも遊川和彦さん(『ミタ』の脚本家)の結婚式に顔を出さなかった件、『ミタ』以降ギャラが高騰していた件などがマイナスに働いている、とのこと。
実際、アタシの友だちが、十数年前に菜々子に取材をしたことがあるらしいんだけど、質問にはろくに答えてもらえんわ、苦労して書いた原稿は何度も突き返されるわで、大変だったらしいわ。菜々子、本物。
でもね……。やっぱりアタシ、松嶋菜々子が大好きなの(取材はしたくないけど)。菜々子がドラマに出ていると、観ずにはいられないのよ。
特にアタシが好きなのは、性格の悪い役を演っている時の菜々子。
『心療内科医・涼子』(日テレ・室井滋が心療内科医を演じたドラマ)で、患者でありながら、心療内科医を精神的に追い詰めていく菜々子。『氷の世界』(フジ・菜々子を愛した男たちが、どんどん死んでいくドラ)で、どう見ても犯人としか思えないような、不敵な笑みを浮かべる菜々子。『やまとなでしこ』(フジ・菜々子が、お金しか信じないヒロインを演じたドラマ)で、貧乏な男に情け容赦なくふるまう菜々子。どれも本当に素敵だったわ……。
そんな菜々子は、ある時期まで、自己プロデュースも完璧だったわ。
女優として成功するやいなや、『みなさんのおかげです』(フジ)のコントで下品なセリフを言わされまくっていた過去を封印し、テレビでとんねるずにその話題を持ち出されても、「そんなこともありましたねェ」と軽やかにスルー。
そして、第一子出産にあたっては、CMを撮りだめして、テレビから自分の姿が消えることがないようにし、復帰第1作に、絶対に外れることがない(そして、たとえ外れても、自分のせいにならない)『救命病棟24時』(フジ)を選択。菜々子の人気絶頂期に作られた第2シリーズには出なかったくせに……。
さらに菜々子は、とんでもない強運(というか悪運)の持ち主でもあったわ。
映画『犬神家の一族』と『眉山』が続けざまにコケ、連ドラヒロインの座も喪失し、一時は雑誌に「菜々子がテレビ局のプロデューサーに『松嶋です。お元気ですか?』と営業電話をかけている」なんて記事まで出ていたのに、『家政婦のミタ』で一気にV字回復。アタシ、つくづく「ああ、菜々子って、やっぱり『持ってる』んだなァ」と思ったものよ。
ただ、そこですぐ調子に乗り、傲慢になったりギャラを高騰させたりして、せっかくの運をフイにしてしまうのが、最近の菜々子(というか事務所?)のダメなところ。
イマイチ甲斐性がなさそうなダンナと二人の子ども(とドーベルマン)を養うためにも、菜々子の活躍を心待ちにしている、アタシみたいなファン(?)のためにも、普段は「謙虚ないい人」を装い、逆にドラマや映画では敵役やら犯人役やらをどんどん演って、ダークな部分を発散してほしいわ!
残念ながら、今年はアニメ『思い出のマーニー』(の声)以外に出演作がなかった菜々子だけど、来年1月11日と12日にオンエアされる『オリエント急行殺人事件』には出演するとのこと。犯人役かどうかはわからないけど、今から楽しみにしてるよ!
【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。
twitter:@esmralda001
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