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    実話BUNKAタブー2022年8月号

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サブカルチャー 2014.05.02(金)

イニーミニーマニーモーについて考えたいくつかの事:ロマン優光連載4

 

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第4回「柵をすり抜けてもっとスカートをひらりさせて余裕で飛び回ってみせるの~イニーミニーマニーモーについて考えたいくつかの事~」

 アイドルというのは「可愛さ」を表現するものだと自分は思っていて、オルタナティブなロックをやろうが下品な振る舞いを演出しようが「可愛さ」を表現できていれば別にかまわないし、逆に何をやろうが別に「可愛さ」を表現できてないのなら全然良くないものでしかない。それをやることで、やってない状態よりも可愛くなるものでなければ意味がないとは思っている。だから「アイドルなのに○○をするから凄い」という言説を見聞きする度に疑問を感じるし、そういうのは結局アイドルを被差別対象にしたロック帝国主義のたぐいの発露ではないかと思う。「○○をやっているのに可愛いから凄いアイドルだ!」と言うことこそ正解ではないのだろうか。
 そういうことを考えている時に、いつも思い出すのがイニーミニーマニーモーというグループのことだ。イニーミニーマニーモー(イニミニ)は中村彩(あもちゃん)と橋本まみ(まみちょん)の2人からなる「平均身長145cm! ちっちゃくて、キュートなガールズデュオ!! 2人合わせて、イニーミニーマニーモー!!」というキャッチフレーズを持つスパイラル・ミュージック(ねがいごと、POWERSPOT、滝口成美等が在籍)所属の良質な楽曲と客へのビンタ等を含む過剰な楽しいステージングで一部で評価される東京のライブアイドルで、この5月11日をもって無期限活動休止になる(2人はイニミニの他にラオックスの公式アイドル・AsoBit☆Girlsのメンバーでもあるが、こちらの方からも撤退)。
 イニミニのライブの特徴としては曲中での客へのビンタ(それが時として投げキッスであったり、前蹴りだったり、柵への拘束であったりもする)が分かりやすいポイントとして語りやすいと思うが、それを「過激」という手垢のついた言葉で解釈するのは浅はかな考えであって、彼女たちのライブの凄さというのは何が何でも楽しい場を造ろうとする過剰なサービス精神と、客を巻き込みコントロールし場を支配する絶妙な手腕、そして何より自由さにあると思っている。そして、それは東京のライブアイドルシーンの中で最良のものの一つだ。自分にそんな資格があるかどうかわからないが、多少なりともイニミニのライブを体験したものとして現時点で書き残しておきたいことはある。

イニミニが歩んだ紆余曲折

 最初に見たイニミニはオリジナルが一曲で、あとはメジャーなアイドルのカバー曲をやってるような、どこにでもいるようなライブアイドルだった。ただ、当時からMCの時のあもちゃんのクールな佇まいは印象的で記憶に残ってる。スパイラル・ミュージックというところは、ねがいごとをはじめアグレッシブな楽曲とステージの、ある種異端な個性を持つアイドルの多いところで、イニミニの楽曲はその中にあっては正統的なアイドルポップスで、ある意味浮いた存在であったかもしれない。
 chupa!!という三人組アイドルから始まった2人のアイドル人生は実際平坦なものではなく、DokiDokiドリームキャンパス、Elasticoと様々なグループを「これは大人の都合だろうな…」というような雰囲気で渡り歩かされ、便利屋のようにいいように使われている感もあった。現在にいたるまで事務所に優遇されていたとは言えないと思う。冷や飯食いというやつだ。そんな状況の中。クールでぶっきらぼうなサグな感じのあもちゃんと、オタク丸出しで泣き虫なまみちょんの同じクラスにいたら絶対に友達にならなそうな2人が、何故かかけがえのない同志として常に共に有り続けた運命の不思議さを思う。
 新曲を貰える機会も少なく、少ないレパートリーで週10回ぐらいのステージを延々とこなしていく。毎日の同じようなステージをどうやって違うものにしていくか。そんな中で生まれたのがビンタであったり、後に花開く過剰なサービス精神だったと思う。
 優遇されない代わりにある意味放任されていたところもあり、放任は自由さを産む。接触時の会話の面白さ、そこでの2人の自由で悪意丸出していて可愛いらしい会話がステージでのMCの面白さに繋がっていったような気もする。本人たちの人間としての面白さがMCばかりではなく、ステージにフィードバックしていった感がある。そして、それは『アンポンタンプンチンプンカンプン』や『イニミニDEじゃ音色』っといった、あの2人が演じるのを前提とした、あの2人でしかやりこなせないであろうオリジナル楽曲を生み出すに至った。ようは2人は自力でこの良曲群を引き寄せたということだ。
 周りの大人たちのサブカルな入れ知恵や、オルタナティブなロック文化のトレースで「アイドルらしからぬ」過激さを装わされているアイドルの、なんと不自由で過激でないことか。そこには再生産と表層的な混乱しかない。イニミニの2人は何の大人の入れ知恵もなく、2人っきりでその自由さを持って軽々とその領域を超え本物の混沌を生み出す。アーティスティックなアイドル? そんなん言うなら、俺は『無敵だよ!YES WE CAN』という完璧で普遍的な現場アンセムの作詞をしたあもちゃんが本質的な意味で、一番アーティスティックだと思うよ。大人に言わされている「ふぁっきゅー」やオタ侮蔑なんて何の意味があるのか。あもちゃんが「HugMe」とプリントされたTシャツを着ていてヲタが騒いだとき「みんな汚いから、無理無理。」と自然に言い放った時の 自然さと可愛さに勝てるわけがない(一応、みんな汗塗れで汚いからって言ってました)。

まみちょんが好きでたまらない

 イニミニが一番過激とかそんなくだらない話じゃない。彼女たちはアイドルを続けるために、自分たちの知恵と力を振り絞ってきただけだ。そう、全てはアイドルであるということに意味がある。「アイドルらしからぬ」とか「アイドルの枠をこえた」とかいうくだらない言説を遥かよそに、イニミニは彼女たちの最新曲『柵をすり抜けてもっとスカートをひらりさせて余裕で飛び回ってみせるの』のタイトルそのままに固定観念をすり抜け、アイドルとしての可愛さをそのままに新しい領域を広げていく。自分たちがどんなに凄いことをやってのけているか知らないまま、ただ楽しいライブの場を造るために。
 自分の拙い文章で何を伝えられるというのか。それでも言いたかったのは、イニーミニーマニーモーという存在がいて、彼女たちが現在の東京ライブアイドルシーンの、いやアイドルシーンの全体の中でも最良の一つであると言っても過言ではない最上級のエンターテイメントを提供していて、ほんとにわずかな時間しかないけど5月11日まではまだ時間があるということだ。こんな文章でも気になった人がもしいるのならば、自分の目で確かめて欲しい。時間はまだある。
 あと一つだけ言うならば、俺まみちょんのこと何で好きなのか未だもってわからないんだけど大好きなんだ。でも、何でだか知るときが終わりのときのような気がするから、何でかなんか永遠に知らなくていい。そうすればずっと続いていくような気がするから。

【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っている。好きなアイドルは、イニーミニーマニーモー。

オススメCD:『アンポンタンプンチンプンカンプン Tape A』(SPIRAL MUSIC)/イニーミニーマニーモー
オススメCD:『ラリホー』日本クラウン株式会社/ロマンポルシェ。
今年1月発売の、bloodthirsty butchersトリビュートアルバムに収録された最新ナンバー!


 


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