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サブカルチャー 2014.03.01(土)

《後編》特撮番組に込められた真のメッセージ

 

>>>前編より

民族差別事件を題材にした脚本

 1971年に放映を開始した『帰ってきたウルトラマン』。
 第33話「怪獣使いと少年」で取り上げたテーマは、ずばり差別だ。ある少年が、過去に怪獣からメイツ星人に助けてもらったことから、老人の姿に扮したメイツ星人と一緒に暮らしていた。少年の行動は不可解だと町で噂になり、超能力を使う宇宙人じゃないかと学校でもイジめられるようになる。子供をイジめる市民を見て、怪獣攻撃部隊「MAT」の隊長がつぶやく。
「日本人は美しい花を作る手を持ちながら、いったんその手に刃を握ると、どんな残忍極まりない行為をすることか」
 やがて市民は暴徒と化し、警察の発砲が老人の姿をしたメイツ星人に命中。メイツ星人が死んでしまったことで怪獣が復活してしまう。逃げ惑う住民にウルトラマンである郷秀樹は言い放つ。
「勝手なことを言うな。怪獣をおびき出したのはアンタたちだ!」
 実はこの33話の脚本家・上原正三は沖縄出身で、当時まだ日本に返還されていなかった沖縄への差別や、沖縄での奄美諸島出身者への差別をもとに、この脚本を書いたのだろう。しかし、子供番組とは思えない内容にプロデューサーは激怒。いくつかのシーンの撮り直しを命じ、脚本家と監督は番組から干されることに。だが、この回を含む第31〜34話の連番4作品は、メッセージ性の高い作品群として、マニアから高い評価を受けている。

テレ東発のダメ特撮ヒーロー

 1996年にテレビ東京で放映された特撮テレビドラマ『超光戦士シャンゼリオン』。なによりも特徴的なのがヒーローの「ダメ男」ぶり。女好き、遊び好きで、借金まみれ。人間と怪人の間で自我を揺さぶられる……などという面倒なことはしないのだ。
 そんなお気楽特撮ヒーロー番組には、いささか不似合いなトラブルが、第38話「皇帝の握ったもの」で起きている。敵側組織に属する黒岩省吾は、ひとつの独立国家となった東京の皇帝に君臨。優秀な人間のみを残し、無能な人間を闇で消していった。
「弱い人間など、虫けらも同然。同情する価値はない!」
 その優生思想・選民思想に、批判の声が上がった。また、車椅子に座った少年の精神が崩壊する場面や、子供たちが銃や手榴弾を手に取り、皇帝たちを攻撃するシーンも問題となり、一部地域で放送が見送りになった。

子どもが見るからこそのメッセージ性

 それにしても、お気楽ムード全開の異色作だったのに、なぜ突然こんな重い内容を持ってきたのだろうか。
 放送されていた1996年は、薬害エイズ事件で当時の菅直人厚生大臣が謝罪、オウム真理教・麻原彰晃の初公判が開かれ、差別や選民思想への問題意識が高まっている頃だった。また、その一方で格差社会も生まれつつあった。東京大学在学中の堀江貴文が、友人らと「オン・ザ・エッヂ」(ライブドアの前身となる会社)を立ち上げ、みるみる成功を収めたのも、まさに1996年だったのだ。
 やがてやってくる富の二極化、格差社会、派遣切り、社会保障の崩壊……。シャンゼリオンの制作者はそうした未来を予見し、あえて描いた優生思想を駆逐させることで、子供たちにメッセージを届けようとしていたのではないだろうか。
  未来を託す子供たちに向け、制作者たちは真剣なメッセージを作品に込める。だからこそ、特撮ヒーローは時代を越えて愛されているのだ。

(文・編集部)写真:echofan / 123RF

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