
現行型存続の方向で検討されている温泉マーク、新旧ともに問題あり!?

温泉マークはどこに行くのか
2020年に向けて、公共施設の案内マークの再検討がおこなれているが、現在の「温泉マーク」について、国内ではデザインを変えないよう求める意見が多いことから、現行のデザインに白紙撤回される見込みとも言われている。
政府の会議では、以前より今のマークは「皿の上の暖かい食事」にも見えることから外国人旅行者にわかりやすいよう、「親子3人が湯船につかる様子を描くデザイン」への変更を検討していた。リサーチでは外国人の7割が新マークを理解しやすいとする一方で、日本人の6割が今の温泉マークのほうが理解しやすいと答えている。さらに温泉地関係者の反対意見も根強く、また変更すると混乱が起きるおそれがあるとして、12月6日の会議では、現行マークが存続される方向で再検討されることとなった。気になるのは、もともとはグローバルに通用するサイン的なことを考えていたはずではなかったのか? という点。予定されていた新マークの扱いについてどうするかは2017年3月までに最終案をまとめるとしている。
現行のマークも東アジアでは別の意味
しかし、現行の温泉マークは、例えば韓国ではほぼ同じマークが「ラブホテル(安宿含む)」の意味として現在も使われており、日本より先に渡韓経験のある一部の外国人は日本の温泉マークを本来の意図として理解するかは微妙だ。さすがに韓国人自身は、国内に日本の情報も沢山あるので間違えはしないだろうが…(明治時代以降には、日本でも連れ込み・赤線の記号としても一時利用されていたとされる。韓国では日本統治時にそちらに近い意味で定着したと考えられる)。
新しいマークも国によっては「犯罪感」か
また逆に、新しい「親子3人の入浴マーク」というのもまだ問題がある。諸外国(特に先進国)の中には「親子で入浴しただけで逮捕」されてしまう国もあるからだ。実際に日本の外務省海外安全ホームページには、『とある先進国に在住の邦人一家。現地校に通っている娘さんが、作文に「お父さんとお風呂にはいるのが楽しみです。」と書いたところ、学校から警察に通報され、父親が性的虐待の疑いで逮捕されてしまった。』という実例が掲載されている(海外邦人事件簿No.50より引用)。
日本では「郷にいれば郷に従え」「ここは日本だ」となるかもしれないが、海外の一部では人権や児ポ的に「ありえない」マークとしか読み取れない可能性もある。現行マークについては誤認を放置できるレベルではあるが、誤解を受けないとはいえない。少なくとも新マークは再度デザインを直すなど、慎重に再判断したほうがいいだろう。
(文・楠尾 袋)図版:検討されている新マーク
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