
医者の本、丸儲けのからくり

出版社の最後の砦? 医者の本が持て囃される理由
名医と呼ばれる人たちからトンデモ理論をかざす迷医まで、医療関係者には「著書」があることが多い。 しかし今は本の価値が下がっている時代。そこまで本にこだわる必要あるのか。 医療関係者はなぜ今も本を書くのか、そしてなぜ出版社は医者の本を出すのか。
出版関係者によれば様々な理由があるそうなのですが…
1、出版社のリスクが低く著者はハクがつく
医療関係は著者による買い上げ部数が多い。 出版社は予め一定量の在庫が捌けるのが事前にわかっていれば書店で売れなくとも赤字にならず、不採算リスクを最低限にできる。医者という職業が高収入だから多く買えるということもあるが、医者側としても自著の1つもないと自分にハクがつかないということもあり、宣伝として自己買いしイベントの際に関係者にばらまくのが目的だ。
病院で初診の際「無償」と称して患者に著書が配られることもあるが、これは何らかの経費処理がされており税金対策かもしれない。 ただ予め本を渡すことで、医者サイドとしては病院の施策や治療法に関しての説明量も減るし、待ち時間も本で潰して貰えるのでこれはこれでいいのかもしれないが…。
2、患者からの注文が続々入る
病院の問診で、なぜか患者が医者から本の販促を受けるケースがある。 「予めこの本を読んでおいてください」と言われたり、参考書になるリストを渡される。あるいはポスター・パンフレットが院内に置かれ、 提携薬局でも…という手法は学校の教材とほぼ同じ。必要だと考えてしまう患者の弱い立場を利用している。さらに反復接触させることによって刷り込まれた患者は書店で著書を探し、無ければ注文する。そのため商品が実にカンタンに売れてしまう。これは手法としてはグレーな感じだ。
出版社としては著者自身が販促してくれると、勝手に継続して注文が入るので楽だろう。
3、本自体が病院の集客にもなる
書店やネット書店で書籍タイトルの病名でたまたま購入した読者は、当然それを治療する名医を求めている。記事内容が納得いけば著者の病院へ来院する可能性が高い。さりげなく本文中に「当院(××クリニック)の場合の実績は…」などと宣伝を織り込んでおくことで、新規顧客を掴めるというわけだ。
一方で既存患者側にも、担当医が著書を持っていることによって「俺は名医にかかっているのだ」という自己暗示がかかることになる。場合によってはプラシーボ効果もあるかもしれない。
以上なんとも好都合。現実的なビジネス臭の漂うちょっとイヤーな話だが、もともと需要のある著者の場合はここまで販促をする必要もないので全てがそうであるというわけではないので念のため。
しかし医者と本(出版社)は、切っても切れない美味しいWin-Winの関係なのかもしれない。
(文・編集部I)photo:写真AC
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