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社会・経済 2013.06.17(月)

製薬業界の言えない話 病気は拡大再生産される!?

 

医者にかかることを勧め、商品名を言わないCMが作られる謎

 最近、主に外資系製薬会社系のテレビCMが、いわゆる製品のCMから、病院にかかるよう促すCMに変わってきているのを疑問に思わないだろうか。有名なものはかなり頻繁に流れているが、あまり聞きなれない病状のものまである。

 業界ではこれらを総称して「疾患啓発CM」と呼ぶ。これらが増えた理由は、潜在的に存在している患者に「自社の新薬」を使ってもらいたいということだが、はっきりと商品名を言わない玉虫色のCMを作る理由は、それらは「処方箋」のいる薬であるため、薬局ではなくまず「医者」に行って処方箋を発行してもらうしか手段がないこと、その場合、薬品名をそのままTVで言うことが出来ないということが大きな理由だ。

 あのTVCM自体は「薬剤師89.1%が早期発見に効果がある」(ネグジット総研調べ)としているが、ある程度業界の自己正当化に見える。というのは日本の医療費・保険料は切迫した状態が長く続いている。そのため重要性の低い疾患について受診をすすめる告知をすることは、本来必要な人だけにかかってもらいたい国や保険の側では望ましくないはずだ。それでもなぜ、あれらのPRが容認されているのだろうか。それはこのCMはあくまで病気受診の啓発であって、自社誘導ではないということが建前としてある。

新薬開発には200億円以上のコストがかかる→売れないと困る?

 だが建前があったとしても、あんなに露骨にたくさんCMを投下するのはなぜか。それにはコスト回収の問題がある。

 実は製薬業は非常にコストのかかる産業である。新薬開発には10年から18年程度の期間と200―300億円の費用が動いている。基礎研究からはじまり、安全性試験(いわゆる動物を用いたもの)、臨床試験(いわゆる医療ボランティア、治験と呼ばれるもの)と3ステップがある上に、承認・発売されてからも、副作用のリサーチなど調査は続く。その莫大な開発費の回収のためには、人々に使ってもらわなければならないことには採算が合わない。

 (諸般の規制が理由だが)なんの薬品名も言わないCMでも、その時トップシェアを取っていれば、増売につながるし、受診後の処方箋もそのシェア通りに自社に回ってくるから大丈夫…という考えなのだ。

 だが、CMにはコスト以外の「副作用」が多々存在する。問題点としては、前述した医療費増加の他に「薬を本来使わなくてもよかった人も使ってしまう」というところだ。この点は大手製薬会社の多くが本社を置くアメリカのほうが先に問題化している。「元々は無かった」はずの病気が定義のし直しによって、「新たに誕生」してしまう――。これは、本当に困った人を助けるというクスリの崇高な目的ではなく、マーケティングの視点である。もちろん病気の定義をしなおすことによって「初めて自分の病気がわかった」と感謝する人もいるだろうが、大半の人にとっては病気の再定義により「巧みに薬を売られる仕掛け」に乗せられているという事実しかない。

薬品会社以外にも、薬でオイシイ目を見ている闇病院の存在が

 日本ではまだ薬の氾濫による問題がアメリカほどではないが、薬が商売的にオイシイことの証明としては、医者がそれら薬を安直に売ることで甘い汁を得てしまったというケースでわかる。処方箋のいるうつ病の薬だが、とある病院は、ほぼ無条件処方する形でリタリン依存症患者にリタリン(中枢神経興奮剤)を処方。クチコミが広がり蔓延、結果問題となり最終的にうつ病でのリタリン処方自体が禁止と改正された例がある(2007年・歌舞伎町のTクリニック =廃院 における事件など)。

 上のように捕まったのは氷山の一角だ。本来診察のいるものを無診察で売っているケースはいわゆるメジャー勃起補助薬などにおいてもいくつか見られる。そんな闇医者は、都内にいくつも存在しているという事実がある。これらは、薬品会社の儲けの「おこぼれ」で違法に稼いでいるともいえるが、ということは本来の販売ルートはどれだけ多大な利益を生み出しているのだろうかということだ。

 薬については適切な使用によって悩み事が改善されるのであれば誰かが口を挟む必要はないが、気がつくと不要な薬漬けになっていないだろうか。生命に影響したり、どうしても必要なものは仕方ないが、薬も保険のように「かけすぎ」や「無駄」もある。これも電気代やゲーム課金のように意識せず払っている慢性的なコストの1つ。薬品代が膨らみすぎていないか、あなたも一度チェックしてみるといいだろう。 

(文・編集部I)
 


 


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