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26本目・『女必殺五段拳』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載52

2023.02.25(土)


杉作J太郎の
DVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画

26本目・『女必殺五段拳』

 監督は小沢茂弘。緋牡丹博徒シリーズも監督している。

 そして京都撮影所には強くて、美しい女性の主人公を盛り立てる男たちが良い役も悪い役も群れをなしている。

 上柴はじめ先生の軽快なノリノリの音楽がまたいい!

 ここに勧善懲悪を越えた、主人公をとにかくかっこよく見せる、アクション映画の王道を行く大傑作が誕生した。

 今回の悪役は麻薬組織。

 なんと東映京都撮影所をそのまま使って「極東映画撮影所」が悪の巣窟である。

 撮影所で働いてる人全員が悪に染まっているわけではない。なにもしらずにもくもくと映画を撮ってるスタッフ、出演者もたくさんいる。

 劇中で先生と呼ばれる大スター役の田中浩は新撰組、近藤勇を演じている。アイドル的人気がありそうな若手スター役が片桐竜次。沖田総司を演じている。このふたりは悪の組織に関係している雰囲気はなかった。監督役の疋田泰盛、そして南方英二も単にハッスルしている激情型の映画監督だ。

 俳優役で登場するチャンバラトリオの面々も悪の組織とは無関係だ。

 悪いのは撮影所長の川合伸旺と撮影所相談役の汐路章。その手下の数名。

 物語のラスト、最高にかっこよくて美しい志穂美悦子さんが悪のはびこる撮影所で大暴れを始める。上柴はじめ先生のかっこいい劇伴にのって血沸き肉躍る! もうそうなると誰が悪の組織でも組織じゃなくてもなんでもいい。田中浩、片桐竜次はもちろん、チャンバラトリオの面々も志穂美悦子さんに挑みかかっては弾け飛ばされていく。クレジットには名前のない事務員の服を来た福本清三まで。

 細かいことは気にしない気にしない。

 なんでもいいから騒げ騒げ~!

 あばれろ~!

 ちなみにチャンバラトリオのみなさんはもともと東映京都撮影所で時代劇映画に出ていた人たち。久々の撮影所での大暴れ。たいへんたのしそう。構成、監督の小沢茂弘。現実を物語に持ち込むことでリアルなリズムが生まれる。完全な作りごとにはしたくないのだと思う。説明不足かもしれないがロバート・アルトマンに通じる作風である。

 つまり。

 この映画の志穂美悦子さんの美しさ、かわいさのリアルな感じが素晴らしい。

 余談ですが中学生の頃、松山市にあったマルベル堂の代理店で私は志穂美悦子さんのプロマイドをせっせと買い集めていました。

 あともうひとつ。

 この映画に登場する麻薬取り締まり捜査官チーム。これがいいんです。

 渡瀬恒彦、五十嵐義弘、岩尾正隆、白井滋郎、田渕岩夫。

 この作品の続編がないのが残念です。志穂美さん、麻薬取り締まり捜査官チーム、そして音楽。道場の後輩のミッチー・ラブ、荒木雅子のお母さん、鈴木正文のお父さん、すべてがたのしい。話はおかしなところもありますが飯でも喰いながら見る分にはまったく文句なし! むしろ酒がすすむ!


『女必殺五段拳』(1976年・東映京都)
出演/志穂美悦子、ミッチー・ラブ、ケン・ウォーレス、川合伸旺、汐路章、田渕岩夫、三浦徳子、荒木雅子、田中浩、片桐竜次、クロード・ギャニオン、ハル・ゴールド、トニー・セテラ、山田良樹、笹木俊志、五十嵐義弘、岩尾正隆、白井滋郎(ノークレジット)、大矢敬典、志茂山高也、前川良三、壬生新太郎、酒井努(JAC)、井上誠吾(JAC)、栗原敏(JAC)、バリー・ライルメン、ティーナ・マグダム、美柳陽子、岡嶋艶子、藤長照夫、木谷国臣、有島順平、鳥巣哲生、古川義信、池田謙治、畑中怜一、矢部義章、疋田泰盛(ノークレジット)、小峰一夫(ノークレジット)、司裕介(ノークレジット)、福本清三(ノークレジット)、サンダー杉山、山根伸介(チャンバラトリオ)、伊吹太郎(チャンバラトリオ)、結城哲也(チャンバラトリオ)、南方英二(チャンバラトリオ)、鈴木正文(特別出演)、渡瀬恒彦
企画/松平乗道
脚本/鳥居元宏、松本功、志村正浩
撮影/塩見作治
美術/佐野義和
助監督/鈴木秀雄
擬斗/菅原俊夫、斉藤一文
協力/国際ナイトクラブ三千里
音楽/上柴はじめ
監督、構成/小沢茂弘


<隔週金曜日掲載>
画像:上記作品 ポスター

記事バックナンバー:https://wp.me/p95UoP-ik

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【プロフィール】
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。


 


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