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サブカルチャー

2021年、アイドルについて考えたこと:ロマン優光連載202

2021.12.24(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第202回 2021年、アイドルについて考えたこと

 錦鯉のまさのりさんこと長谷川雅紀さんが50才でM-1王者に輝く一方で、林家三平師匠が51才で笑点のレギュラーを卒業するという、そんな年の瀬。おじさんにも色々な人がいるということだし、いくつになっても何が起こるかわからないということでもある。
 だから、生き方が大事というわけだけど、まさのりさんと三平師匠の人生を比べたときに、親の言うままに家業をつぎ常識的に見える生き方をしてきた三平師匠の方が普通に考えれば世間的に正しく過ごしてきたといえば正しく過ごしてきたわけだけど、芸事の世界でそれが正しかったのかどうかといえばどうだったのか。錦鯉の優勝を感動話として受け取って消費している人の中にも、M-1優勝という結果がなければ、40才過ぎても独身で貧乏暮らし、先の見えない売れない芸人生活をしているまさのりさんのような生き方を否定する人も大勢いるだろう。しかし、その生活がなければM-1で優勝する可能性すらなかったのも確かである。
 普通に生きることがいいことばかりでもないし、他人から見てそれをやるのに恵まれた環境に生まれながらにいたとしても、本人の資質にもそれをやることに対する向き不向きはあるし、そこで期待されてる結果をだせないことも当然ある。他人から見てろくでもないような暮らし方をしていても、それはそれで楽しさもあったり、そこから何かを掴んでくる人もいる。他人の生き方に何を言ったところで何が正解かなんてわからないということだ。そして、現時点で失敗しているように見えても、それが本当に失敗であるかどうかもわからない。
 編集氏に「今回のテーマ、三平笑点卒業でどうですか。高田文夫とかいじってて」と言われ、そういうことをボンヤリと考えていたのだけど、私は高田氏ではないので特に三平師匠についてこれ以上語れることもなく、ここからは今年一年地下アイドルを見ながらボンヤリ考えたことについて書くことにしよう。
 知人に女性アイドルの飲酒や喫煙を許せるかということを執拗に聞かれたことがあって、知人は否定的な意見を持っていて、私は「成人であるなら問題はないし、それを見せることでその人がやっているアイドルのスタイルが私の中で変にかわらないなら別にどうでもいい。アイドルによる」という考えだった。知人は嫌煙家というわけでもないし、アイドルでない女性が飲酒や喫煙をしていることに対しては特に問題視をしているわけではない。彼の中に正しいアイドル像があって、その中に「アイドルは飲酒や喫煙をする姿を人前やSNSで見せてはいけない」というのがあるということだ。
 そう考えると、私は私の中に「正しいアイドル像」という具体的な形を既に持ち合わせてはいないのだろう。向こうが自分はアイドルだと主張し、私がアイドルだと思えれば、その人は私にとってアイドルだという漠然としたものがあるだけだ。極端な話、ステージ上で泥酔してめちゃくちゃな状態であっても、私がアイドルだと思えばアイドルだし、古典的な清純なアイドル像を完璧にステージ上で表現していたとしても、私がアイドルだと感じなければ、その人は私にとってアイドルではない。
 色々な人がいて、その人たちが自分の想うアイドル像をそれぞれ表現し、それを色々な人がそれぞれの嗜好でそれをアイドルととらえたり、アイドルではないと判断する。誰かにとってのアイドルは誰かにとってはアイドルではないかもしれない。
 古典的なアイドル像を踏襲したアイドルを好む人にとっては派手髪やピアスはアイドルとかけ離れた否定されるべきものだが、そういうアイドルを愛する人が好みそうな清純な髪型や服装をオタクを釣るために意図的にやっているアイドルよりは、自分の好きな髪型をしているアイドルの方が心が純粋であるともいえる。知人にもそういう人がいて、彼にとってのアイドルと呼べる存在が年々減っていくことを嘆いているのだが、派手髪は古典的なアイドルを愛するアイドルオタクの彼にとっては不良というイメージかもしれないが、今の世の中そういうわけでもない。そういったファッションの地下アイドルには、いわゆる陰キャだったり、オタクだったり、社会に馴染めないタイプの人も多いだろう。社会に疎外感を感じながらアイドルを支えにして生きてきた先の見えないおじさんの抱える孤独を共有しているのは、そういう派手髪の人なのではないか。そういうことも思ったりもする。
 しかし、おじさんの考えるアイドル像において派手髪は正解でない以上、派手髪のアイドルと出会って幸せになるなんてことも有り得ないのだ。そのこだわりが彼の人生の何かを支えてきたのだから、それを無理に捨てることが正しいこととも言えない
「これはアイドルとしての一つの正解である」と思わせられてしまうアイドルが現実に存在することもある。声も容姿も性格もかわいらしく、清純でおとなしそうで頭も良く、音楽・文学・漫画などにも造詣が深くセンスのいい、ある種のサブカルおじさん・文系おじさんの理想像そのもののような女の子が何の狙いもなしに自然に存在して、アイドルをやっているということもある。曲も良ければ、ライブも良い。現場の雰囲気もおだやかである。ある種の人にとっては完璧な正解でしかないアイドル。自分も好きな要素しかないはずだ。好きな要素しかないはずで、アイドルとしての一つの理想像であるとも思っているのに、なぜかはまらない。本来の私の趣味性からいえば非のうちどころがないくらい正解ではあるけれど、別にそういうものは自分が見なくても誰かがちゃんと見るだろし、 それが私のアイドルに対する正解というわけことではない。
 自信過剰で大言壮語を吐くのに打たれ弱い人。すぐに怒る心が狭い人。現場やオタクに対する愛に満ち満ちた結果、なぜか物販の時にオタクに思いきり噛みついてしまう人。常にホラを吹いている人。偏屈でモラトリアムな世界で生きている人。自己評価がひたすら低くてほめられても信用できないような人。ひたすらキモオタでめちゃくちゃ早口で自己完結している人。世界を憎んでいる人。無邪気に無意味な悪意に溢れている人。才能は確実にあるのにメンタルにムラっ気がありすぎてカラ回りしがちな人。才能まみれなのに間違った時に間違った場所に常にいてしまうような活動をしてしまう人。そういう世間的には正解とはとても言えないような、なんだか間違っていて、どこか間が抜けている変な人たちが自己をアイドルであると規定してアイドルとしてステージに立っている姿を見るのが好きだし、それは私にとってはアイドルとしての正解だ。アイドルというものは、そういった人たちの表現を確実にすくいとることができる。それは他人からしていれば間違っているのだろうけど、そんなことはどうでもよくて、ただ私は私が好きなものを見るだけだ。
 色々と書いてきてはみたのだけれど、2021年のクリスマスイブに私が何を考えているかというと、東京ぴ炎の「モノクローム」とRATEL OF LOVEの「OPEN THE 脳」のスタジオ音源がはやく出ないかなということでしかないのである。

(隔週金曜連載)

【画像】林家三平オフィシャルサイト(報道目的引用)

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ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz

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