. 『ベルベット・アサシン』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載6 - ブッチNEWS(ブッチニュース)

エンタメ・サブカル・生活情報のニュースサイト

ブッチNEWS

■ブッチNEWSのメルマガ(※認証あり)


PC表示はこちら 連載バックナンバーは(外部)






[PR]



サブカルチャー

『ベルベット・アサシン』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載6

2021.05.14(金)


杉作J太郎の
DVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画

3本目・『ベルベット・アサシン』

『薬指の標本』では主演、『007慰めの報酬』、『オブリビオン』、『スパイレジェンド』では準主演の国際スター、オルガ・キュリレンコの主演作。日本ではいまいち知名度が上がっていないが名前の読み方が難しいのも理由かもしれない。オルガ・クリレンコと表記しても読み的には問題なく、各配給会社およびマスコミはオルガ・クリレンコと表記しなおしてみてはどうか。この原稿はオルガ・クリレンコで行ってみたい。というか、今後、俺はそう表記していこう。
 なお、オルガ・クリレンコはもともとは世界的なファッション雑誌の表紙を飾っていたようなトップモデルであるが映画デビュー作『薬指の標本』は小川洋子の同名小説が原作である。
 さて。
 今回棚に残したい映画『ベルベット・アサシン』の舞台はイスラエルである。なかなか馴染みがない。日本とはかなり町の雰囲気や暮らしぶりが違うのではないかと、俺も思った。
 だが、そうではなかった。違うところは違うのだろうけども、ほとんど似通っていた。スーパーマーケットの描写があるが似ていた。似ていた、というか、そういうところまでいっしょなのかと思ったことがあった。
 オルガ・クリレンコは殺し屋である。もちろん普段は隠している。
 アパートのとなりの部屋から物音や悲鳴がすると思ったらとなりの部屋の女性は夫から日常的に暴力を受けていた。いわゆるドメスティックバイオレンスというやつだが俺は内向的な性格の男が多い現代日本特有のことかと思っていた。そうではなかった。
 オルガ・クリレンコはその女性と仲良くなる。いっしょにスーパーマーケットに行く。そこでオルガ・クリレンコはその女性から教わるのである。
「賞味期限のある商品は奥のほうから取れ」
 と。
 手前ほど賞味期限が迫っていて、奥のほうに新しい商品を置いてある。考えてみればどこでもそうするよなー、ということだが実際に映像で見るのは説得力ある。そしてさらに、
「賞味期限のある商品は奥のほうから取れ」
 そうハッキリ言ってくれると映画の中のセリフとはいえたいへん救われた思いがした。俺も買ってすぐに食べるものしか買わないわけではない。買っておけばいつか食べるだろうなーと思うものも買う。その場合、賞味期限に余裕があるほうがありがたい。なので奥のほうから取りたいが店の側に立ってみれば古いもの、というと言葉が悪いが賞味期限の迫ったものから買ってもらいたいはずだ。
 この映画、日本では劇場で公開されなかった。オルガ・クリレンコの映画はそういうことが多く残念だがこの映画に関してはDVDが出た。レンタルですぐに見たがもう10年が経つ。10年経ってもこのスーパーマーケットのシーンは忘れることがない。忘れることがないがいまでも奥のほうに手を伸ばすとき、たいへん罪悪感がある。ただそれがすこしばかりやわらいでいるとすればこの映画のおかげであるし、そうだとしてもやはりいまでもいちばん手前のものを買うことも多い。
仲良くなったオルガ・クリレンコととなりの部屋の女性だったが組織も、夫も、つまり男たちはそれぞれ彼女たちを許しはしなかった。彼女たちの笑顔が増えれば増えるだけこの展開が悲しく、また悲惨である。
 世界的に男たちはどうかしている。
 見た当時、たいへんショックを受けた。
 作劇的なことで記すと終盤、ギューッと凝縮した衝撃のラストが待ち受けている。そのスタイリッシュな展開は墓場プロ第一回作品『任侠秘録人間狩り』に似ていた。『任侠秘録人間狩り』は2006年公開。なのでパクったわけではない。念のため。

『ベルベット・アサシン』(2009年/イスラエル・フランス・アメリカ)
出演/オルガ・クリレンコ、ニネット・タイブ、ゾハール・シュトラウス、リロン・レヴォ
撮影/ラム・シュウィーキー
音楽/ナサニエル・メカリー
監督・脚本/ダニー・ラーナー 

<隔週金曜日掲載>

おすすめDVD/『ベルベット・アサシン』(発売元:AMGエンタテインメント)
楽天ブックス ※同店品切
https://books.rakuten.co.jp/rb/6514176/

杉作J太郎(杉作J太狼XE) twitterアカウント
https://twitter.com/otokonohakaba

杉作J太狼XE監督作品 映画「チョコレートデリンジャー」twitterアカウント
https://twitter.com/choco_derri2017

・雑誌、実話BUNKA超タブー(月刊/毎月2日発売 6月号発売中でコラム「熱盛サウナおやじの伝言」連載中! コンビニ・書店・ネット書店にてぜひ!(電子書籍版や一部読み放題でバックナンバーもお読みいただけます)

【著者最新刊のお知らせ】
東映実録バイオレンス 浪漫アルバム(徳間書店)
【全国書店・ネット書店で発売中】杉作J太郎・植地毅 著
https://books.rakuten.co.jp/rb/15332613/

【ラジオのお知らせ】
週に4回!! 愛媛・南海放送ラジオで、新番組「杉作J太郎のファニーナイト」放送中。火・水・木/19:00~21:30, 土/21:00~23:00。アプリ「radiko」のプレミアム会員なら日本全国で聞けちゃうし、タイムシフト(あとから聴くこと)もできちゃう! ラジオの未来のためにもみんな聴いてね!

◎ラジコプレミアム詳細:http://radiko.jp/rg/premium/
◎番組詳細:https://www.rnb.co.jp/radio/j-taro7/
◎番組twitter:https://twitter.com/jtaro_night

【杉作J太郎松山サミット】
松山から配信! 次回は(この記事の公開時点で)未発表。
https://blog.rnb.co.jp/matsuyamasummit/

【杉作先生のLINEスタンプ】
発売中です。なんと、キャラクターが動くのです。これは衝撃!

「動く!杉作J太郎のあなたに捧げるスタンプ」
https://store.line.me/stickershop/product/1293340

動かないほうがいいという方はこちら。
「杉作J太郎の あなたの笑顔が見たいスタンプ」
https://store.line.me/stickershop/product/1295630

【杉作J太郎:プロフィール】
すぎさく・じぇいたろう
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。

おすすめ本:Jさん&豪さんの世相を斬る!(残侠風雲編)@ロフトプラスワン(ロフトブックス)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13832873/


 


スポンサーリンク

 
■更新情報をいち早く通知するブッチNEWSメールマガジン




Powered by Vivvo CMS v4.6