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ライブアイドルとコロナ鬱:ロマン優光連載166

2020.07.31(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第166回 ライブアイドルとコロナ鬱

 毎年、梅雨の時期というのは、長い雨が気鬱にさせるのか、気圧や日照の問題が脳に影響を与えるのか、理由ははっきりとはわからないけれど、メンタルの調子が悪い人が多くでるわけですが、自分のTwitterのタイムライン上ではメンタルの不調を訴える人が例年以上に多かったです。元々、メンタルが不安定な人が一定数(内訳としては地下アイドル・元地下アイドル、バンドマン・ライターなどをやってるおじさん、そういうもののオタク)いるタイムラインなのですが、今年は並外れてひどいです。
 メンタルの不調を訴えるつぶやきが多いというより、普段だったら「死にたい」くらいのものが自殺未遂を起こすぐらいになっていたり、不穏なつぶやきをしながらもツイ消しを繰り返しながらTwitterを続けているのが突如としてしばらく音信不通になってしまったり。そういう例が明らかに今までよりも多いのです。今までそんな傾向がなかったような人、少なくともTwitter上ではそういう姿を見せなかった人たちまでが、精神的な不安定さを訴えるようなツイートをしています。

 理由はなんとなくわかります。コロナ禍の影響です。「単純に新型コロナにかかったらどうしよう……。」みたいな不安が常にあるからというだけではないですよね。経済的な不安、政府や自治体がちゃんと動いてくれてるかに対する不安、この状況がいつまで続くかわからないという不安。どういうことが特にツラいかは人それぞれとして、あらゆるパターンで精神的に負荷をかけてくることだらけです。自分の心を支えてくれる趣味の分野によっては、今の状況では全く奪われてしまう。新型コロナの感染を広げないように生活を心掛けている人にとっては、何にも気にせずに動いているように見える人の存在もストレスになる。それがある上に、今年のひどい梅雨、それに伴う災害の多発というものが加わるわけで、それによる実害が大きい少ないとか、職種 (職種によってはいっそう)を問わず不安だらけで、例年より調子が悪い人が多いのは当たり前なわけです。ちなみに自分も調子悪いし、電話とかで話す人もみんな調子悪いです。

 自分のタイムラインの話に戻りますが、ライブやトークイベントに出演してたような人たち、それに客として頻繁に通っていた人たちが大きくメンタルが揺れているのを見ていると、他人と共有できる「場」というのが、どれだけ精神に安寧を与えていたのかというのかがわかります。
 ライブといってもピンキリで、大会場が大勢の客で混雑してるようなライブもあれば、小さい小屋で20人満たない客の前でやっているようなライブもあります。そんな中でも、より小さい規模のライブに出演しているような人の方に「ライブ」という在り方に執着している人が多いような気がします。集客も少ない、あまりお金にもならないようなライブ。そういうものを続けていけるのは、そこにその人を求めてくれる人がいるからだと思います。求められ方も人によって色々な形はありますが、自分が必要とされているという実感が大きく感じられるから、直接的に生身の客と接することができる、客の反応を身体的に感じることのできる実演の場が重要なのです。ネットでの反応も嬉しいけれど、生身の現場で感じる充実感に比べるとどうでしょう。客の歓声や笑顔。客との間にできるコミュニティのようなもの。それは、ある意味で麻薬であり、演者と客席の距離が近い小規模な場でより強い力を持っています。

 とはいえ、そこにどれだけこだわるかというのは人によって違うものです。ライブをやってる人が、全員そこにこだわっているかというと違います。より有名になるための段階としか考えていない人もいれば、ちやほやされてちょっと嬉しいという人もいます。いわゆる「メンヘラ」アイドルと言われているような人たちにも色々なタイプがあるわけで、何がなんでも世間から注目を集めたくてしょうがないタイプの人と、自分の存在証明のためにアイドルという生き方を選んだ人とは違うタイプですよね。前者はライブで評価されるよりも、ネットでバズったりするほうが重要だったりします。貪欲でいくら注目されてもされたりないような人です。後者のようなタイプの地下アイドルほど、ライブという場に執着していると感じてます。
 アイドルに限らず後者のようなタイプの表現者はいます。普通の社会では上手くやっていけてない人、周りから認めてもらえないと思っている人。そういう人が表現の場を通して存在証明をしようとする。そして評価されていくことで安定した自己肯定感を獲得していく。「何かをやっているから自分は認められているので、素の自分は誰からも認められてない」みたいな妄念に取りつかれてしまう人もいるので、一概には言えないのですが。

 それはともかく、人から必要とされているという実感を体感できるのがライブの場です。それによって精神の不安定な部分を支えていた人たちが、ライブができない状況が続き、ライブができても無観客配信という客の顔が見えないものであったりするような状況で磨り減っていくのは必然です。生きていく上でのストレスを解消してくれていたものが大きく失われたのだから。
 客側にしても、普段の生活の中で与えられた役割でしか必要とされていないと感じてしまう人、素の自分自身が必要とされてる実感がない人たちが、演者が自分を必要とする人を必要としている部分や客側のコミュニティの中で素の自分が必要とされていると感じ、それで救われているということはあります。こういうタイプの人には、それが体感できていたライブという場を失うのは演者側と同じように苦しいことです。ライブを通して演者の表現や存在自体に心を支えられてきたタイプの人もこの状況では当然苦しいのですが、それ以上に場に必要とされている気持ちが強かった人は苦しいでしょう。
 演者側は配信等の新しい場でのやり方を模索したり、作品をつくることで試行錯誤しながら、今の状況で可能な限りの「場」を造って先に進んでいこうとしていくわけですが、客が目の前にいることを前提としたライブのパフォーマンスに特化したタイプの人は本当にキツい状況ですよね。それに特化した客側も。
 ただ、客の前での実演の場が失われたり、以前とは様相が変わっていく中で、 現在やれる新しいやり方を模索する人もいれば、やりたいことができる日まで雌伏している人もいます。そのどちらが正しいかはわからないし、どちらも正しいのでしょう。そして、続けていこうという意志には変わりはありません。表現を続けていくことでしか自分として生きられない人たちがいて続けようという意識がある限り、その人たちを必要とする人もいなくなりはしないと思うのです。
 せめて梅雨が明けてくれたら、ちょっとは調子良くなる人がでると思うので、はやく梅雨明けして欲しいですな。

(隔週金曜連載)

画像: Novel Coronavirus SARS-CoV-2 / NIAID-RML(From Flickr photo:CC BY 2.0)

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