石田ゆり子さんの思い出(9):杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載129
2020.06.26(金)
軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太狼XE先生の「男の魅力がぐんとアップする美しさ勉強講座」
129時限目・石田ゆり子さんの思い出(9)
石田ゆり子さんが著書のなかで紹介されていた料理を作ってみた。
簡単そうだったがどうも失敗してしまった。材料は玉子と納豆とネギ。できあがったらそれにポン酢でいただく。このポン酢を俺はケチってしまったのだ。
俺は料理をまったくしないほうではない。ので味噌、醤油、ソースといった調味料や諸々香辛料などは常に新品の買い置きがキッチンの上の棚にある。ポン酢も買い置きはあった。ただ冷蔵庫の中に使いかけのものはなかった。ふだん、俺はあまりポン酢を使わないのだ。冬場は使う。お鍋をよく食べるからだ。俺が作る鍋はほとんどポン酢で食べる簡単なものだ。それに七味を振るとお酒が美味しくなる。ただ、春がすぎ、気温が上昇してくると鍋は食べなくなる。ので使いかけのポン酢がこの時期、冷蔵庫の中にないのである。
石田ゆり子さんの著書の中にさらりと文字だけで紹介されていたこの料理。本当は教えたくないんだけど、とまで記されていたのでここで作り方の紹介はしないでおくが、材料はさきほど記した。それほど難しい料理ではなかった。
できあがりを皿に移した。
それにポン酢を添えればできあがりであった。
使いかけのポン酢はなかったが、棚に新しいのがあることは知っていた。それを開栓して使うつもりで石田ゆり子さんのおすすめ料理に挑んだ。
が、できあがって皿に移した瞬間、早く食べたい気持ちが俺を急襲した。
あたたかいうちに、アツアツの状態のものを早く食べたい。石田ゆり子さんが教えたくないとまで記された料理を一刻も早く口に運びたい。テーブルの上に醤油はあった。
早く口に入れたいという欲望が最後の最後で石田ゆり子さんの記したレシピから逸脱した。
醤油をかけた!
かけながら、
「違う!」
そう思ったが、
「ええい、ままよ」
の気持ちが出た。その時点ですでに後悔は始まっていた。ただ後悔が始まりつつも、醤油というのもなかなかに万能で、下手なソースや調味料よりも素材を活かしつつ美味しくなることは多い。その可能性もあるじゃないか、と思いながら俺は料理を口に運んだ。
これは。
俺も料理をするほうなので食べながらわかった。
醤油では、ない……!
わざわざ、石田ゆり子さんがポン酢と記したには記した大きな意味はあるのだ。教えたくないという料理なのに最後に味を添える調味料をわざわざ指定したのには、指定するだけの意味があったのだ。
焦る気持ちがよくなかった。
どう言えばいいんだろう。
まだまだ未熟である。
(つづく。2週間後、またお会いしましょう)
<隔週金曜日掲載>
写真/2016年2月25日・『僕だけがいない街』完成披露試写会
https://twitter.com/otokonohakaba
杉作J太狼XE監督作品 映画「チョコレートデリンジャー」twitterアカウント
https://twitter.com/choco_derri2017
・雑誌、実話BUNKA超タブー(月刊/7月号発売中・8月号7月2日発売)で「熱盛サウナおやじの伝言」連載中!
【著者最新刊のお知らせ】
東映実録バイオレンス 浪漫アルバム(徳間書店)【全国書店・ネット書店で発売中】杉作J太郎・植地毅 著
https://books.rakuten.co.jp/rb/15332613/
【ラジオのお知らせ】
2枠で週に4回!! 愛媛・南海放送ラジオで、「痛快!杉作J太郎のどっきりナイト3」放送中。火・水・木/19:00~21:30, 週末は「痛快!杉作J太郎のどっきりナイトスピリッツ」土/21:00~23:00。アプリ「radiko」のプレミアム会員なら全国で聞けちゃうし、タイムシフト(あとから聴くこと)もできちゃう! 先生の声に浸っちゃおう!
◎ラジコプレミアム詳細:http://radiko.jp/rg/premium/
◎番組詳細:https://www.rnb.co.jp/radio/j-taro7/
◎番組twitter:https://twitter.com/jtaro_night
杉作先生のLINEスタンプが発売中です。なんと、キャラクターが動くのです。これは衝撃!
「動く!杉作J太郎のあなたに捧げるスタンプ」
https://store.line.me/stickershop/product/1293340
動かないほうがいいという方はこちら。
「杉作J太郎の あなたの笑顔が見たいスタンプ」
https://store.line.me/stickershop/product/1295630
【杉作J太狼XE:プロフィール】
すぎさく・じぇいたろうXE
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
おすすめ本:Jさん&豪さんの世相を斬る!(残侠風雲編)@ロフトプラスワン(ロフトブックス)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13832873/
ここまでの話がわかる、連載バックナンバーはこちら→
https://wp.me/p95UoP-3Z(URLがリンクしないサイトでごらんの方は、URLをコピペして検索窓に)