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アップリンクのパワハラ:ロマン優光連載163

2020.06.19(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第163回 アップリンクのパワハラ

 映画会社・アップリンクの元従業員が同社の浅井隆代表をパワハラで提訴したという話を巡って、業界の人たちや市井の情報通が浅井氏に関するエピソードを披露しては「やっぱり」とか「びっくり」みたいな話をしているので、自分も浅井氏のエピソードの一つも披露できればいいのでしょうが、そもそも生の浅井氏を見かけたこともないし、アップリンクに行ったのも最低で10年~最高で17年くらい前で何を見に行ったのかも、あるいは仕事で行ったのかも覚えてない始末。そんな私が唯一他人から聞いて覚えている浅井氏個人に関わる話が「浅井さんは腕毛が濃い」という話でした。未だにそれが事実であるかどうかも知らないし、これを教えてくれた人はそもそも何の意図があってこんな情報を私に伝えてきたのでしょうか? まあ、ようするに私は映画業界の人でもなければ、情報通でもないという話ですな。

 そんな何も詳しい情報を知らない自分ですら、この話が出てきた時に有り得る話だなとは思うくらい、「文系の小規模な集団の中でパワハラが起こることはよくあることで、意外なことではない」ぐらいの認識が広がってきているわけです。たいてい強烈な個性の人がトップにいて、その人に引っ張り回されてるうちに誰も意見できなくなっちゃうんですよね、そういう小集団って。そういう構造って愚連隊だろうが何だろうが同じなんでしょうが、頭以外の成員がそういうものを避けて生きていた人が多そうなところが特色な気はします。相手がそういう人だから圧で支配しやすい面もあるし、文化に対する本人の夢を人質にしてる面もあるし、文化を通して自分の場所を求めている行き場がない思いをして生きてきた人たちの必死な思いを利用してたりもするし、雇い主と従業員の関係でもあるとすると金銭的な部分も握られてるわけで、ほんと色々とよくないです。

 こういうパワハラみたいな話になると、今回に限らず、俺は体育会系だから大丈夫だったみたいな話をする人が出てくるわけです。パワハラ擁護のつもりはないのかもしれませんが、そんな言葉足らずの言い方だと、俺はタフだから平気だったが弱い奴らは大変だったろうみたいに聞こえちゃうわけで。そんなタフガイ自慢に何の意味があるのかさっぱりわかんないですよね。誰もそんな話は聞いてないし、聞きたくもないんじゃないでしょうか? 考え浅いし、デリカシーないし、雑すぎです。

 体育会系という言葉とパワハラってよく結びつけられやすいとは思うんですが、これも変な話だと思うんですよ。上の立場の人からの罵声や威嚇が飛び交う職場って、ほんとは体育会系じゃなくて、「軍隊」気取りの職場と言うべきだと思うんですよ。学校の運動部の部活の中に、生徒をいたぶる悪質な指導者や後輩をいたぶる嫌な先輩が多く紛れ込んでくるのは、スポーツの持つ特質じゃなくて、下士官や古参兵の理不尽な新兵虐めみたいのをやるのに色々とちょうどいい環境だからですよね。大義名分ありきで逆らえない相手をいたぶることが可能だからです。こういう人間が運動部の中にだけ紛れ込んでいるかというと絶対に違いますよね。そういう環境に恵まれないから生徒~学生時代はやらなかっただけで、大人になってそういう環境に恵まれると嬉々として質の悪い「軍隊」のような統制を始めてしまう人は多いと思います。思想の右左とか体育会系文化系とか関係なく、「力」に耽溺してしまうことへの耐性みたいなものかと思います。尊敬されること、権威化することで周囲に力を持ってしまうことって本当に怖いことだし、気を付けないと誰が陥っても不思議ではないと思うのです。パワハラをするのは最初から他人を支配するために動いているサイコパスみたいな人ばかりではないのです。
 パワハラ・モラハラというのは本当にキツいもので、その環境からさっさと逃げれるならいいのだろうけど、大概は退路が塞がれた状態にあるわけです。「そんなことはない。逃げようとすれば、逃げれるはず。逃げろ!」と言う人は当然いるだろうし、それは正解なのかもしれないけど、金、メンタル、人間関係と色んな部分でカタに嵌められてしまっている状態では逃げる道を見つけることなんかできないんですよね。
 そういう状況にいる人の中には、パワハラを仕掛けてくる相手と良好な関係を築くことで、攻撃を少しでも軽減しようとする人もいます。それが上手くいくと、傍目からは仲良しのように見えてしまうわけですけど、本人としてはその人と一緒にいるだけで苦しくてしょうがないわけです。自分もそういう感じの相手がいたことがあります。
 その環境から相手から憎しみを買わないように上手く離れることができて、その人からひどい目に合わないのはわかっていても、道端でバッタリ出くわしたただけで苦しくなってしまうんですよね。上手く離れることができた結果、向こうは変にこっちに好意を持ってるから、はやく離れたくても話がしつこい。今の距離感や関係性の中で向こうにそんな力はないのがわかっていても、露骨に嫌がってるのを見せたら何をされるかわからないような気分がしてきて、すごくストレスになる。顔を見るだけで苦しくなったり、逆にわけのわからない怒りの発作が起きそうになったり。そうかといって今単純に目の前にいる相手に物理的に怒りをぶつけても、何にもならない。自分でもそんな気分でいるのは嫌なんだけれど、どうやったら解放されるかわからない。何かの拍子に突然思い出して様子がおかしくなったり、そのことで家族に心理的な負担をかけたり、そのことで家族に申し訳ない思いをしたり、ほんとそういうの嫌なんですけど、解放されないんですよね。たとえ相手が謝ろうが、罰せられようが、死のうが、いったん楔のように打ち込まれてしまったそういう感情から解放されるわけではないのです。

 そういうことを考えると、今回提訴したアップリンクの元従業員の人たちは個人的な感情に留まらず色々と建設的に進めているわけで、月並みですけど界隈自体に良い影響がでるといいなと思いました。

(隔週金曜連載)

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ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz

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