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中田敦彦デタラメ歴史塾:ロマン優光連載152

2020.01.17(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第152回 中田敦彦デタラメ歴史塾

「次回のテーマ、キンコン西野主演で『たけしの挑戦状』舞台化、飯島直子が松屋の紅生姜持ち帰りすぎ、オリラジ中田のYouTubeチャンネル燃える、のどれがいいですか?」というメールが編集氏から届き、頭を抱えています。そのお題で何を書けっていうんだよ……。取り合えず、一通り手をつけてみて何とかなったやつを提出するしかない!

『たけしの挑戦状』舞台化するったって、まだ舞台やってないから見れないし、そもそも俺ゲームやんないから、ビートたけし本人がネタにしてたのしかしらないし、なんで舞台にするのか不思議だけど、そんな感想書いたってしょうがないし……。だいたい何が聞きたいんだよ! 西野さんにケチでもつければいいの? 主演は水道橋博士がやるべきだとか言えばいいの? 全然そんなこと思わないし! そんなこと言うやつ頭おかしいよ!
 飯島さんが持ち帰りの牛丼買うときに無料の紅生姜を沢山貰ってくるっていっても、店内で食べてる人の横から卓上の紅生姜を容器ごと奪い去ろうとしたわけでもないし、店の人がダメってとめてないんだから別にいいんじゃないでしょうか。店が赤字になるのではないかと心配する人もいますけど、店内でも飯島さんが持ち帰った量よりも多くバカみたいに紅生姜使って牛丼を食べる人間も大勢いるわけです。それでも、紅生姜は取り放題のままですよね。それを考えると、客の何割かに紅生姜を沢山食べられたところで別に赤字にならないように計算されてるのではないでしょうか。
 ただ、持ち帰り用の紅生姜は店内に置いてあるやつに比べてショボいというか萎びた感じというかアレなので、自宅で食べるのなら業務用の紅生姜を常備しといたほうがいいのではないかとは思います。しかし、牛丼って自分でカスタマイズして食べるものじゃないですか。人によって七味や紅生姜の量や相互バランスは違います。飯島さんは温泉卵、おろしポン酢、七味、紅生姜という独自スタイルを持ってるほど拘りがあるようなので、あの持ち帰り用の紅生姜でなければ彼女の求める味にならないのかもしれない可能性があるので何とも言えませんな。

 あと、中田さんのやつですね。もう意見出尽くしてて特に加えるようなことはない気もするんですけど、頼まれたから仕方がないので何本か見ました。話題になってた中国の近代史のやつと、日本史の鎌倉から室町の時期のやつ、ようするに自分が資料を見ながらでなくても大筋をなんとなく覚えているような辺りの話をしてるやつを見たんですよ。やっぱり、あれは突っ込まれますな。擁護する人が言ってるような「歴史上の出来事には諸説ある」とかそういうレベルじゃない、大前提のとこでおかしなとこが出てきますもん。
 一言でいうと、中田さん雑なんですよ。参考文献の選び方もよくないというのが一つ。中田さんは本の内容を要約して喋ってるだけで、間違っているのは参考文献が悪いから仕方ないみたいな話をしてる人もいますが、そんな本を選ぶのが悪いと言われたらそれまでの話。だったら、もう少しちゃんとした本を参考文献に選ばないといけないのではないでしょうか。さすがに元寇の話とか、何年前の知識だよって感じしかなかったので、それが参考文献のせいだとしたら、今時そんなことを書いてるような本を選ぶことに問題が。
 要約の仕方も雑です。なんでそうなるかはなんとなくわかるんですよ。あれ、一本、20分から30分ぐらいの尺じゃないですか。はなから、そんな尺でちゃんとまとめるのが無理な事柄をわりと無理矢理要約して喋ってるからです。高校の歴史の授業なんか結局最後まで教科書終わらないまま卒業することとかあるじゃないですか。教科書自体ができるだけ簡素に歴史をまとめてるものです。それだって年に100時間ぐらいは最低かかってるはずなのに終わらないわけで。年号とか細かい法律名とか省いていっても、それでも大筋をなぞるだけで、そうとうな量があるわけで、それを2、3時間で要約して話すなんてだいぶ無理があります。その無理をやるために、ギリギリまで歴史を要約してしまってるような本を参考文献にしちゃうじゃないですか。元ネタの本を人間で例えるなら、ギリギリ骨格だけが残っていて人間だと認識できるような状態です。それを要約するというのは、骨を抜いていくようなもので、そんなに抜いたら人間の形はしなくなっちゃいますよね。それに、あの人が本当にやりたいのは知的な啓蒙ではなくて自分の話芸を聞かすことでしょう。そっち優先して、面白いと本人が思ったくすぐりとか入れてくるわけじゃないですか。そこに尺をとってたら、さらに解説部分がざっくりしてくるでしょうな。
 あと、あの番組、トークのライブ感重視してますよね。ここ言い忘れたから後で差し挟んどこうみたいな編集の仕方はしてません。トークライブの記録をそのまま配信しているような感じです。トークライブって場の勢いで進んでいくもんなんで、細かい言い間違い、言い忘れ、記憶違い、思ってもないことをノリで言ってしまう等が起こりがちなんですよ。自分思うんですが、中田さんは今思われているよりは、本当は題材にしてることに対して理解はしているのではと思うんです。中国の近代史の件も、一応はちゃんと袁世凱についての話をしていたわけで、共産党が成立したころに清朝があったとは思ってはないと思うんですよ。ただ、その場のテンションだけでいっちゃうから、そういう肝心なこと(清朝滅亡とか)をはっきりと伝えるのすっぽかしちゃって、余計に変な感じになるんだと思います。

 医学、自然科学の間違った情報は命に関わることがあるため、それに対して厳しい人が多いのに比べて、間違った歴史認識に関しては「細かいことなんか別にどうでもいいじゃん」と思われがちです。はたしてそうなのでしょうか?
「関ヶ原の功績で土佐藩の領主となった山内一豊。しかし、前領主長曽我部氏の旧臣たちは彼の支配下にはいることを良しとせずにゲリラ戦で抵抗する。そこで一豊は土佐の相撲好きの国民性を利用して相撲大会を開催し、ゲリラたちを誘き寄せる。そして参加者を無差別に銃撃して皆殺しにすることで、抵抗勢力を一掃した。」という話があり、事実のように語られてます。一豊といえば、残虐でズル賢いジェノサイダーだと思っている人もいると思います。でも、これ司馬遼太郎の小説『功名が辻』のエピソードが、元ネタが小説であることが伝わらないまま事実であるかのようなていで流布していった話なんですよね。事実は相撲大会をこっそり見物に来た大勢の抵抗勢力を捕縛し処刑したぐらいの話なんですよ。参加者全員無差別殺戮なんて話ではないんです。それを司馬さんが小説の中で膨らませて書いたわけです。司馬さんには罪がありません。最初からフィクションであると公言しているわけですから。それを事実であるかのようにさらに膨らませた感じで広めたやつが悪いのです。そのせいで、高知県人が一豊の出身地である静岡の出身の人間を憎む高知県人が一豊たちが掛川からやってきたことから静岡の人間を憎むあまりに戦争がおこるようなことがあったら、取り返しがつきません! まあ、それは冗談ですが、間違った歴史認識が広がることで本来は必要ない軋轢が生じることは実際にあることなんですから。間違った歴史認識だって人を殺すことはあるんです。

 中田さんが本気で学ぶことを啓蒙しているんであれば、今回のことを機会に監修に専門家を招いてしっかりやってけばいいし、『しくじり先生』で獲得した解説キャラ芸人でやっていきたいだけなら「一夜漬けで読んだ本を曖昧な知識で無理矢理要約して解説してみせる芸」みたいなふうに、もっとわかりやすく、そこを打ち出していくべきだと思うんですよ。話芸自体は面白いんだから、どっちかにちゃんとすれば問題ないと思います。中田さんは教養深い人間のイメージでオンラインサロンの会員を増やしていったところはあるので、そういった部分を捨てるのは難しいでしょうね。ちゃんとテーマごとに専門家を監修につけてやってくのが一番いいと思うのですが。

 しかし、今回一番びっくりしたのが、編集氏が送ってきたメールにあった「何もしてない教授が叩くのも大人げない」という一文でした。何もしてないって、多分、教授は講義とか研究とかしてるよ! まあ、そのテーマに関わることだから中田さんに反応したわけで、何もしてないわけじゃなくて何かしてるから反応したんだと思いました。

(隔週金曜連載)

写真:2016年2月10日・FOXムービープレミアム短編映画祭2015 授賞式/プレミアムナイト

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