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ボブ・ディランおめでとう:ロマン優光連載68

2016.10.14(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第68回 ボブ・ディランおめでとう

「え、ノーベル文学賞にボブ・ディラン?」
 ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したとの知らせに驚かれた人も多いことでしょう。そして、「よくボブ・ディランのことはしらないけど、とりあえずボブ・ディラン大喜利でうまいことを言ってファボを稼ごう!」と企んだのはいいけど、「ボブ・デュラン」と書いてしまったために「正しくはボブ・ディラン」と見知らぬ人にクソリプを送りつけられたツイッタラーも多かったことと思います。
 自分、ノーベル文学賞の対象って小説か詩ぐらいだとなんとなく思ってたので、シンガーソングライターの歌詞が対象になるなんてびっくりですよ。まあ、別にノーベル文学賞の選考基準に小説と詩に限るなんて書いてないみたいだから、ディランがもらっても問題はないといえば別に問題はないんですが、何か落ち着かない気分ですね。
「アメリカの音楽に乗せて、新しい詩の表現を創造した。」というのがディランの受賞理由なんですが、楽曲、演奏と切り離した独立した詩として評価を受けたのか、音楽込みで歌詞として評価されたのか、いまいちよくわかりません。
歌詞というものは例え同じ言葉・同じ文章でも、その言葉がどういうメロディーに乗っかっているのかもそうですし、演者の声質や歌い方によっても捉え方が全然変わってくるものです。文字列としてしるされた詩だけが評価されるわけではないのです。こういうものから、他の要素を切り離して詩としてだけ評価の対象にすることは可能なんでしょうか。ボブ・ディランの楽曲を聴いたことが全くない人、シンガーソングライターとしての功績を全く知らない人が文字として書かれた歌詞のみで選ぶのならできるでしょうが、歌として聴いたことがある人には、歌や声や演奏から切り離して詩だけのイメージを捉えるのは不可能なのではないでしょうか? そういうところが気になります。

 大衆音楽の歌詞というものがノーベル文学賞の対象となったわけですから、今後はポップ・カルチャー全体がノーベル文学賞の対象となる可能性があるわけで、今後は受賞範囲に漫画とかも含まれる可能性も生まれてきたわけです。広告文でもいいですし、映画のシナリオとかでもいいわけです。選考委員による「小説や詩といった形式がすでに旧態依然とした過去のものに過ぎない。」という意志表示かもしれませんが、「そういうものが終わったと言いたいのはわかったけど、終わらせるんなら最後にピンチョンあたりにやっとこうよ。」と思わないではなかったり。
 今回のボブ・ディランのノーベル文学賞受賞劇によって、ハルキ・ムラカミという若い女の子の性交ばかり妄想しているおじさんより、「日本の音楽に乗せて新しい詩の表現を創造」している長渕剛さんの方がはるかにノーベル文学賞に近い存在だということがわかったので、次回からはみんなで長渕さんの受賞を楽しみに待つことにしましょう!

<隔週金曜連載>

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ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。

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