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又吉が芥川賞受賞!:ロマン優光連載36

2015.07.24(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第36回 又吉が芥川賞受賞!

 又吉直樹氏が『火花』で、羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』と共に芥川賞を受賞されました。私は以前に「個人的には良い部分はあるが特に賞をとるほどの優れた作品ではないと思うし、作品をとりまく外野の状況がうさんくさかったり、わかる部分はあるのだけど手放しで世界観を受け入れられるタイプの小説ではない。」と『火花』のことを評したことがあるのですが( http://bucchinews.com/subcul/5151.html )この受賞に対して私が何か憤りを感じてるかというと、別にそんなことはないのです。

 この件で「芥川賞、地に落ちたり!」と言わんばかりの発言をしている人がしばしば見受けられます。はたして、本当にそうなのでしょうか? 又吉氏の作品は私の趣味ではなかったですけど、ひどい作品では全然ありませんでしたし、高く評価する人がいても不思議ではありません。又吉氏が芸人であること、その人気で本が売れるであろうことを狙って受賞させたに違いない、許せないという考え方もあります。でも、そんなこと今に始まったことでないのでは。綿矢りさ氏が若くてルックスのいい女性であったことは、芥川賞を取るにあたり非常に有利に働いたことでしょうね。
 作品以外の付加価値を考慮して受賞させるというのは今まででもあったことだと思います。現代では出版社の主催する賞は基本的に作品を売るためのもんです。純文学作品なんて今時売れないんだから、作品の質がある程度以上高いのであれば、付加価値によって売れる作品を選ぶのも仕方ないことなのかもしれません。それによって、出版社が潤うことで純文学というものが刊行し続けられるのですから。
 あと、こういう批判をなんとなくしてる人、羽田圭介氏の『スクラップ・アンド・ビルド』を読んでなさそうな人が多そうですよね。私はとても面白く感じました。全然関係ないですけど、ウルトラ・ファッカーズという日本を代表するスカムバンドのメンバーであったことがモブ・ノリオ氏が芥川賞を受賞するうえで何にも役にたってないであろうこと、モブ・ノリオ氏が受賞したことがウルトラ・ファッカーズに何も影響をもたらさなかったことを考えると、付加価値に頼らず、付加価値をもたらさないモブ・ノリオ氏のすごみが伝わってきます。

そもそも芥川賞なんて…

 それ以前に芥川賞を過去に受賞した全部の作品が自分にとって素晴らしい作品だったでしょうか? 絶対、そんなことはないでしょう。好きな作品もあれば、嫌いな作品もありますよね。そもそも、過去の芥川賞受賞作を全部読んでる人がどれぐらいの数いるかという話です。もちろん、私も全部は読んでません。漠然と芥川賞は日本の純文学の最高峰を決める賞であるというふうに思っている人は多いと思いますが、別にそんなことはないと思うのです。たとえば、私は石原慎太郎氏が評価したとか、山田詠美氏が評価した作品と言われても、さっぱり興味が持てません。何故なら両氏の作品が全然好きでないからです。自分の好きでない作品を書く人が評価する作品が、自分の好きな作品である可能性はかなり低いと思うので、特に興味を持つことはないです。逆に自分が好きでない作品を書く人がこき下ろした作品の方が、興味がわいてきます。自分と感性があわない人の感性にあわない作品は、自分と感性があってる可能性が高いと思うからです。
 普通は小説を読むなんて趣味なんだから、好きな作家の好きな作品、自分と嗜好が似てる信用できる書評家や友達の勧める作品、まったく感性があわないと感じる人が貶す作品の中から読みたいものを探していけばいいだけだと思うのです。文学賞の価値なんて選考委員が誰なのか次第ですよ。選考委員に自分の好みの作品を書く人が多ければ自分にとって価値のある賞になるだろうし、そうでなければどうでもいいものです。それによって収入が左右される作家や出版社でないなら、自分の好みが確立してる読者にとっては文学賞なんてそんなものではないでしょうか?

 だいたい、芥川賞なんて辻仁成がとった賞ですよ。辻仁成が。そう、辻仁成です。そんなもん、どうだっていいに決まってます。そういうわけで、芥川賞なんてどうでもいいと私は思ってることを皆さんにお伝えして、終わろうかと思います。

【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っている。好きなアイドルは、イニーミニーマニーモー。

写真/編集部 2015年6月23日・スキンケア新商品「コモエース プレミアム」発表会

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