
TPPの著作権違反非親告罪化で、キュレーション・まとめサイト全滅!?

まとめサイト全滅の危機迫る!?
TPP協定(環太平洋経済連携協定)における知的財産条項案で、著作権関係の交渉が進んでいる。
特に話題となっているのは、著作権に関する違反の非親告罪化。いままで日本で著作権侵害は「親告罪」だったので、著作者が直接侵害者を訴えない限りは事実上黙認という状態だった。これを「非親告罪化」としたい要求が米国側からあるという。TPPでそれが合意された場合、今後は著作者本人からの訴えがなくとも誰でも公訴が可能となり、違反者が摘発される可能性がいままでよりも高くなる(他にも著作権保護期間の延長など、要求事項はいくつかにわたる)。
これを受け入れることにより、日本の固有文化が破壊されるのではないかという危惧が一部業界にある。たとえば法的にはグレーゾーンでありながら、ファン活動を著作権者や出版社が黙認してきたことで成長してきた「同人誌」。日本がいままで押し出してきたクールジャパン文化に反する交渉に、マンガ・アニメ業界は強い危機を感じているという。3月1日にはコミックマーケット準備会が声明文を出すなどさまざまな動きはがあるが、TPP交渉は重要情報の公開過程が非公開であること、また事実上米国主導であることからどうなるかは依然不透明だ。
しかし、話題にすら上ることが少ないが、マンガ・アニメ以外に大幅なトラブル発生が予想される業界がある。それはインターネットだ。
ネット上に溢れる「まとめサイト」「キュレーションサイト」「バイラルメディア」のほとんどが、他者のコンテンツを「引用だ」と言い張り、要件すら満たしていないのに拡大解釈で無断転載をしてきた。
いままではこれらを訴えたくとも著作者が訴訟費用と効果のバランスから諦めるケースが多かったが、TPPで著作権の違反が非親告罪となると、これらの首を締めたい第三者からも公訴が増えるほか、警察判断による捜査も増えることが予想される。
まとめサイト全滅とはいかないまでも、キレイなコンテンツに改められない業者はまず生き残れなくなる。逮捕者が続出するかもしれない。これはまとめサイト嫌いな人には望ましいかもしれないが、一方トラフィック減でネット広告市場の成長が鈍化するかもしれないという問題もある。そんな時代はすぐそこに迫っているのだ。
(文・編集部I)写真:shizendaisuki / 123RF
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