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芸能・エンタメ 2023.01.20(金)

リアルとは程遠い茶番劇ーー『スラムダンク』の駄作っぷりを検証【後編】

 


【前編記事「トレパク?オワコン?ーー『スラムダンク』の駄作っぷりを検証」はこちら】(https://bucchinews.com/geinou/7070.html)


 

リアルで本格なのか?

 スラダンを評価する言葉に、「必殺技が出てこない」「徹底したリアリズム」「本格バスケ漫画」などがある。果たして本当に、リアルで本格だろうか?

 本作は当初「バスケ漫画」だったかも怪しい。コメディー漫画の要素が強く、主人公のキャラや暴力シーンの多さからはヤンキー漫画として読めるし、ヒロインの晴子中心に見れば恋愛学園モノにもなる。

 ズブの素人の桜木花道を強豪校・陵南との練習試合に出場させるなど、リアルを排除した漫画だからこそ。現実の高校の部活動で、体育館用の上履きしか持っていないような奴を出場させたら、補欠に回された部員がバカらしくなって辞めてしまう。

 一方で、流川楓、仙道彰、沢北栄治など、超高校級の天才プレーヤーが次々に登場しすぎ。本場NBAでも限られた選手だけができるようなプレーをなんなくこなす。

「必殺技が出てこないからリアル」と言うが、「ギャラクティカなんちゃら」とか「エンペラーなんちゃら」とか命名していないだけで、流川や仙道のプレーは充分に現実離れした必殺技だ。

 強くなりすぎたキャラ設定をリセットするため、さらに強いキャラを登場させるのもジャンプ漫画の常套手段。31巻以降もスラダンが続いていたら、ゴールのボードを飛び越す高校生が登場していたはず。

失笑モノの茶番の数々

 試合描写も「あり得ない」のオンパレードだ。豊玉戦で負傷し、片目が完全にふさがった流川を出場させるなど、周囲の選手の安全性を考えても考えられない。案の定、距離感がつかめず、「体が覚えてらっ」と両目をつぶってフリースローを決める流川。命名するなら「ダークネスショット」か?

 山王戦で不甲斐ないプレーをしている赤木に喝をいれたのは、好敵手の魚住。ゴール下で倒れる赤木の頭の上で、板前の格好をして大根の桂剥き。

 身長2mを超す大男が、銃刀法違反にあたる刃渡り6cm以上の刃物を所持し、試合中のコート脇に立つ。通り魔事件さながらの恐ろしいシーンだ。当然、警察に突き出されると思いきや、観客席に戻されるだけ。

 リアルなバスケの試合は、よほどの実力差がない限り、点を取って取られての繰り返し。ぶっちゃけ、わりと単調なのだ。

 しかし、漫画でそのまま描いたらつまらなくなるので、盛り上がりのために「波」を作る。大量リードされていたチームが、今度は一方的に点を取りまくったり、ひとりの選手が何本も連続してスリーポイントシュートを決めたり。

 試合中、相手チームの選手に「オレの名前を言ってみろ…!! オレは誰なんだよ」(三井)、「お前には将来がある 向かってくるなら手加減はできねえ男だ 俺は」(山王・河田雅史)などと長々話しかけていたら、即座にテクニカルファウルを取られる。

 スラダンは漫画だ。漫画だから「あり得ない」はあっていい。ただ、それを「リアリズムが!」とか持ち上げるのは、漫画もバスケも分かっていない恥ずかしい行為なのでやめた方がいい。

漫画の設定がなってない

 諸々の色眼鏡も外し、フラットに『スラムダンク』という作品を評するなら、「ありがちな子供向けスポーツ漫画」といったところだ。

 ヤンキーの主役、天才肌のライバル、少々天然なヒロイン、お寒いギャグ満載の学園生活、立ちはだかる強敵、それを倒せばさらに強い敵……どれもこれもが陳腐! 記号化された少年漫画の定型を踏襲しただけの、平々凡々な予定調和作品。オリジナリティーが足りないから、専門誌をトレースしたり、実在の人物をモデルにしたり、パクリ紛いの手法で取り繕う。

 山王が見せる「オールコートゾーンプレス」は、秋田のバスケ強豪校、能代工業高校のプレースタイルであることはよく知られているし、名朋工業の森重寛は、NBAのスター選手、シャキール・オニールがモデルだと作者自身が明言している。いかにオリジナリティーが欠如し、できの悪い作品であるか、それを象徴するのが、この「森重寛」というキャラクターだ。

 山王戦後、「みんな疲れすぎて負けちゃった」というオチで、唐突にぶった切ったスラダンの終わり方には賛否ある。当然、信者は「これがいい。リアル!」と、バカのひとつ覚えに絶賛。作者の井上は、「山王戦が最後と決めていた」と語っているが、甚だ疑わしい。

 第187話、すれ違いざまに桜木を突き飛ばし、「約1か月後 日本は森重寛を知る」と思わせぶりなナレーションで初登場した森重。しかし、その後の活躍はまったく描かれていないし、桜木との因縁も回収せず。

 そのほかにも、「愛知の星」こと愛和学院の諸星大や、陵南・相田彦一にして「本当の要チェック」と言わしめた大栄学園の土屋淳など、「まだ見ぬ強豪」を何人も出しておきながら、いずれも一言二言の台詞のみでお蔵入り。

 新キャラで伏線を張ったはいいが、それ以上思いつかず、広げた風呂敷を投げ出したというのが実際のところだろう。NBA選手をパクってまでキャラを乱発させたがゆえ、収拾がつかなくなることが分かっていたからこそ、井上雄彦は「逃げた」のかもしれない。

作者の「逃げグセ」

 実際、ジャンプ本誌の最終話には「第一部完」の記載があり、作者あとがきでも「続きはやりたい」のコメント。やめたい作者と続けさせたい編集部との、苦しい落としどころだったのだろう。

 行き詰まると放り出す「逃げグセ」というのは、染み付いた人間性からなるもので、その後の『バガボンド』でも見事に発揮されている。

 自分が好きなものを人に勧めるというのは、意外と難しい作業だ。「絶対におもしろい」「ここが泣ける」と絶賛すればするほど、勧められた側は期待値を上げられていた分、「こんなものか」という印象を受ける。

 スラダンファンが本当に本作を愛しているのなら、「『スラムダンク』とは、陳腐かつ非現実的で、作画もキャラもパクリだらけで、中途半端に投げ出された過去の遺物」だと、ありのままの姿を「リアル」に伝えてあげるべきだ。


【前編記事「トレパク?オワコン?ーー『スラムダンク』の駄作っぷりを検証」はこちら】https://bucchinews.com/geinou/7070.html


画像/「THE FIRST SLAM DUNK」ポスター (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

「実話BUNKA超タブー」は隔月偶数月の2日発売です。コンビニ・書店・ネット書店でお求めいただけるほか、発売半月後には電子書籍としても販売。一部読み放題サービスなどでもお読みいただけます。


 


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