
左翼ウケ狙いで案の定左翼大絶賛の『エルピス』が最終回に

絶賛に値しない意味不明ドラマ
12月26日、フジテレビ系連続ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(月曜午後10時)が最終回を迎えました。
『エルピス』は実在の事件をモチーフとして扱い、かつ国家権力との戦いという骨太なテーマが描かれていたため、放送開始から話題となり、視聴者が絶賛し続けるなか最終回となったわけです。
最終回は長澤まさみ演じるアナウンサー浅川恵那が、自身がメインキャスターを務める『NEWS8』にて、圧力がかかるなか冤罪事件の真犯人に迫った映像を公開。冤罪被害者の松本死刑囚が救われるという大団円に。で、過去回同様ネットは絶賛の嵐となりました……いや、そんなに絶賛する内容ですか、これ。
確かに冤罪被害者は救われました。が、副総理による強姦事件もみ消しに関わったことを告発しようとしていた副総理の元秘書が殺されたことは、冤罪事件の真犯人を報道することと引き換えにボツ。いや、長澤まさみ演じるアナウンサーがその交換条件を呑むことはいいとしても、強姦もみ消しの真相を追っていた眞栄田郷敦演じる岸本拓朗まで冤罪事件が報道されたからってウェーイって盛り上がってるのおかしいでしょ! 自分が関わったことによって元秘書が殺されたばかりなのに。
リベラル左翼が大喜び
長澤まさみが、鈴木亮平演じる副総理の太鼓持ちのフリージャーナリスト斎藤正一の説得に応じて、交換条件を呑んだのもそもそも謎。
鈴木亮平、何が何でも報じるって決めた長澤の決意を翻意するほどには説得力のあること言ってなかったですよ。「これを報じたら政権がひっくり返る」とか「まあそうでしょうね」くらいにしか思えないことであっさり引き下がるとか、強姦被害者や口封じの元秘書に対して恥を知れ、と。
全部の問題を解決させず、ある程度残したままにするってのもリアルを描く一つの方法だとは思います。
でも、このドラマ、そもそも足利事件をモチーフにした八頭尾山連続殺人事件の真相に迫っていくエピソードを腰を据えてやればよかったのに、そこからさらに強姦事件だの、そのもみ消しに動いた元秘書の口封じ殺人だのと風呂敷を広げすぎたもんだから、上手く畳めなかっただけでしょ。
まあ国家権力と戦う構造をより強調して、リベラル左翼の人たちのウケを狙いたかったんでしょうね。
その目論見は見事に大成功! 安倍晋三元首相が五輪招致の際に福島原発が「アンダーコントロール」されていると言っちゃった迷演説の映像を使ったり、事件もみ消しの黒幕の副総理が麻生太郎にそっくりだったり、リベラル左翼の人たちが喜びそうな演出が散りばめられていたから、彼らはドラマの内容そっちのけで初回から大興奮&大絶賛でした。単純すぎでしょう。
気持ち悪い“年の差恋愛”構図も
永山瑛太演じる八頭尾山連続殺人事件の真犯人のキャラもなんなの。ずいぶん思わせぶりなキャラとして登場して、常人にはない知性と狂気を持ったキャラかと思いきや、事件の手がかり残しまくりで、単に有力政治家と仲の良い父親に事件をもみ消してもらってただけ。ショボっ。序盤で登場して以降、真犯人にも関わらず結局出てこずじまいだし。これで大団円とか言われても無理でしょ。
あと松本に昔匿われたことで無罪を信じていた大山さくらが、ラストで松本にカレーとケーキを振る舞って、自分が昔松本にもてなされたのと同じもてなしをするシーンがありましたが、初老の男性と若い女子の年の差恋愛を描いてるみたいで気持ち悪くないですか。あれで感動とか意味不明すぎです。
これが韓国ドラマだったら、もっと長い尺で物語を展開できたので、風呂敷を広げすぎても回収できたんでしょうけど、10話前後でまとめないといけない邦ドラマなんだから、そのショッボい身の丈に合ったドラマにしましょうよ。やっぱドラマは韓国ドラマに限りますねー。
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