エスムラルダの「勝手にワイドショー！」

第426回　工藤静香のセクハラ告白で思う今と昔の価値観の違いをどう埋めるか問題

　歌手、そしてキムタクの妻でもある工藤静香が、7月30日に放送された音楽番組『ミュージックフェア』（フジテレビ系）にゲスト出演。「デビュー当時の大変だった仕事」というテーマで、ゲストがそれぞれの体験を話したとき、かつての人気番組『とんねるずのみなさんのおかげです』の、石橋貴明が霊能者に扮する〝宜保タカ子〟の企画について、「タカさんが、自分のスカートの中に私を入れるんですよね。ホントに。とても嫌で」と苦笑しながら発言。

　これに対し、ネット上ではアンチから、むしろ静香に対して「今の時勢に乗って調子に乗ってる。過去のことを今の価値観に照らし合わせて判断しても何にもならない。あのときがなかったら今の家庭だってなかったかもしれない」「こういうことを言っちゃうのかあ。なんか残念。今になって昔の仕事をハラスメント方面から捉え直して語るというのは、とても醜い」といった声が上がっているそう。

　アタシ、その回を録画していたので、あらためて観直してみたんだけど、静香自身は決して「調子に乗ってる」わけでも、「今になって昔の仕事をハラスメント方面からとらえ直して語る」わけでもないと感じたわ。そういうトークテーマを与えられたし、『ミュージックフェア』も『とんねるずのみなさんのおかげです』も同じフジテレビ系列なので、ライトなネタとして話していたような（やはりゲストだったゴスペラーズのメンバーから、「今、ちょっと難しいだろうな、ああいうシチュエーションは」「コンプライアンスって言葉がなかったですからね、当時はね」といったフォローコメントは出ていたけど）。もちろん、感じ方は人それぞれだと思うけど、静香を叩いている人って、発言内容を文字だけでしか読んでいないか、単に静香を叩きたいだけなんじゃないか……という気も、ちょっとだけしたわ。

　ただ、昔行われていた、今だったらセクハラ・パワハラと受け取られてしまう行為やネタをどう扱うかというのは、なかなか難しい問題よね。時代が変わり価値観が変わってからも、同じような行為やネタを繰り返すのはもちろん論外だけど、一方で、かつてそういった行為やネタが容認されていたという事実を完全に隠蔽するのもどうかと思うし。台本があったのかどうかは知らないけど、アタシ的には、静香が笑い話っぽく話し、ゴスペラーズが今の視点からコメントをするという今回の連携プレーがベストのような気もするわ！

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【エスムラルダ：プロフィール】

えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」（ポット出版、共著） 
twitter：@esmralda001

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