
『ちむどんどん』に感情移入できない理由を考えてみた:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載415

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」
第415回 『ちむどんどん』に感情移入できない理由を考えてみた
4月11日から始まった、朝の連続テレビ小説『ちむどんどん』(NHK総合)、みなさんはご覧になっているかしら?
アタシ、1年ちょっと前に、「黒島結菜ちゃんが朝ドラヒロインに決まった」というニュースが流れたとき、こんなコラムを書いたの( https://bucchinews.com/geinou/6778.html )。もともと結菜ちゃんに注目していたアタシは、「原作のない現代ものの朝ドラはわりと物語が破たんしがちだし、わがままだったり非常識な行動が目立ったりで、あまり愛せないヒロイン像になることも多い」という不安と、「脚本家は『マッサン』と同じ人だし、きっと手堅くいい感じに仕上げてくださるはず」という期待を抱いていたんだけど……。不安はびっくりするほど的中し、期待はびっくりするほど裏切られているわ……。
特に21世紀以降の朝ドラは、途中からやたら雑になったりご都合主義な展開が増えたりグダグダになったりすることが多いんだけど、アタシが超駄作認定している作品でも、おそらく作り手にまだ余裕がある1週目から2週目あたりまでは、「これはもしかしたら、名作になるかもしれない」という期待をもたせてくれていたのよ。ところが、今回はそれすらもなし……。
たとえば、まだ放送開始から1か月しかたってないのに、すでに貧しい主人公一家に嫌がらせをする金持ちの子どもが3人(男2人、女1人)現れては退場(しかも男2人は、「実は主人公のことが好きで」とか「金持ちなりの悩みがあって」みたいなこともなく、ただただ主人公たちをいじめ、貧しさをバカにするためだけに登場)。竜星涼くん演じる主人公の兄が次から次へトラブルを起こし、周りに迷惑をかけまくる。とってつけたような主人公の行動や降ってわいたような幸運のおかげで、突然問題が解決するので、感情移入しにくい……。同じようなパターンが何度も繰り返されるし、沖縄に対しても登場人物に対しても、全体的に、愛情が感じられないのよね。結菜ちゃんや竜星くんがかわいそう。
今期のNHKは、『鎌倉殿の13人』『17才の帝国』『正直不動産』『カナカナ』と、名作ドラマ揃い。なのに、なぜ朝ドラだけこんなことになっちまっているのかしら……。
今週から舞台が東京に移ったけど、今からでも軌道修正が行われること、結菜ちゃんの黒歴史にならないことをひたすら祈るわ……。
<水曜連載>※今回木曜更新
画像:番組ロゴ
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【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
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