
新旧朝ドラが楽しめる平成最後の夏:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載219

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」
連載第219回 新旧朝ドラが楽しめる平成最後の夏
熱狂的支持者がいる一方で、内容に違和感を覚えた人たちによるハッシュタグ(#半分白目)が広まるなど、何かと物議を醸している朝ドラ『半分、青い』。
アタシ、4月にこのドラマについて、「ハラハラする部分もかなりあるものの、アタシも随時ツッコミを入れつつ、もちろん半年間観続けるわ」と書いたんだけど……。北●先生の破壊力、アタシの想像をはるかに超えてた……。
まず、主人公のキャラクターがひどい。口は軽いし、失礼&乱暴な発言は多いし、他人への配慮がなく自分勝手だし、都合よく記憶を塗り替えるし、思い通りにいかないとすぐに癇癪を起こすし。かつて、こんなにも愛せなかったヒロインいるかしら……。
そして、ヒロインの状況が、小学生→高校生→漫画家→百均店員→主婦→シングルマザーとどんどん移り変わっていくんだけど、前職のスキルとか積み上げてきたものが後の人生にまったく生かされず、人が次々に登場しては、何の役割も果たさないままに消えていく展開もすごい。なんだかもう、行き当たりばったりとしか思えない……。
ただね。アタシ、もしかしたら北●先生は、朝ドラでこうしたものを描きたかったんじゃないか、とも思っているの。先生がもし「自分勝手でまったく成長しない人間がヒロインで何が悪い!」「生きていれば人間関係なんてどんどん変わっていくし、積み上げたものが生かされないことだって多いんだよ!」という思いをこの作品にぶつけておられるとしたら、納得がいくし、たしかに大きな挑戦でもあると思うのよね。
周りの朝ドラマニアは続々脱落してるけど、先生の挑戦(?)、アタシはやはり、最後まで見届けるわ……。
一方で平日16時20分からは、2011~2012年に放送された朝ドラ『カーネーション』を再放送中(高校野球中継により、現在一時休止。放送再開は8月27日)。
アタシ、このドラマ(特に尾野真千子時代まで)が大好きで、本放送のときも欠かさず観ていたんだけど……。まさか再放送で、もう一度ハマることになるとは思わなかったわ。
先日、第98話が放送されたんだけど、今のところ捨て回が一つもナシ。15分の中に、毎回必ず喜怒哀楽と笑いと涙が詰まっていて、無駄なシーンがまったくなくて、時間が経つのがあっという間なの! あらためて「おそろしいドラマだな……」と思っているわ。
そんなわけで、まったく違うタイプの朝ドラの同時に観せられている、2018年夏。これはもしかしたら、すごく贅沢な経験なのかもしれないわね……。
<水曜連載>※今週は編集部都合により木曜公開
画像:NHK「半分、青い。」番組ロゴ
【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001
連載バックナンバーはこちら →
https://wp.me/p95UoP-4L(コピペして検索窓に)
おすすめ書籍:「同性パートナーシップ証明、はじまりました。渋谷区・世田谷区の成立物語と手続きの方法」エスムラルダ、KIRA著(ポット出版)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13507222/
[PR]