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  • 実話BUNKAタブー 2020年1月号
    実話BUNKAタブー2020年1月号

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芸能・エンタメ 2014.10.08(水)

「お松バブル」に思う:“ホラー系ドラァグクイーン”エスムラルダ連載19

 


エスムラルダの「勝手にワイドショー!」

連載第19回:エスム「お松バブル」に思う

 ほとんどメディアに姿を見せていないにもかかわらず、「『ありのままで』が海外が絶賛されている!」だの「ドラマ『HERO』の続編に、結局出演しなかった!」だの「紅白で『ありのままで』を歌う可能性が濃厚に!」だの、今年、やたらと話題になりまくっている松たか子(以下、お松)。
 この降って湧いたような「お松バブル」を複雑な思いで眺めている人は、きっとアタシだけじゃないはず……。

 アタシが初めてお松を観たのは、1994年の大河ドラマ『花の乱』(NHK)。この時お松は17歳で、ヒロイン・日野富子の娘時代を演じていたの。ちなみに、富子の夫・足利義政の青年時代を演じていたのは、市川新之助(現・海老蔵)。当時の海老蔵は、線の細い目のさめるような美青年で、アタシはすっかり夢中に。一方でお松のことは(松本幸四郎の娘だとは知らず)「なんでこんな大してかわいくも美しくもない娘がヒロインに起用されたのかしら」「顔立ちが古くさくて大河向きなのかしら」と疑問に思っていたわ。

 以後、お松は民放のドラマにも次々に出演するようになり、「美人女優」と呼ばれるようになったんだけど、アタシはずっと、その扱われ方に疑問を抱いていたの。「そりゃ、梨園出身の女優(お姉さんの松本紀保とか寺島しのぶとか?)の中では綺麗な方だけど、それほど『美人』かしら?」って。なんかこう、幸四郎の威光を恐れる芸能界やメディアが、一生懸命「松たか子=美人」説をごり押ししているような気がしてならなかったのよ。

 ところが! そんなアタシが、ある出来事を境に、考えを改めることになったの。
 あれは数年前の夏……。新宿にあるアタシの行きつけの店が、お松が出演する映画のロケで使われ、アタシや友人たちもエキストラ(バーの客の役)で出ることになったのね。で、アタシたち、バーの後ろの(入口が見えない)席でスタンバっていたんだけど……。しばらくして、ドアが開く気配がしたと思ったら、えらくまばゆい光が入ってきたのよ! 「な、なんだ? この見たこともない光は」と恐れおののいていたら(大げさ)、お松が悠然と店の中に……。生まれてはじめて「女優オーラ」というものを目の当たりにして、アタシ、「ああ、やっぱりこの人、すごいものを持っているんだ」と納得せざるをえなかったわ。完全なる敗北……(って、なんの勝負だ)。

 それ以来、「容姿についても演技力についても歌唱力についても、やっぱりちょっと、評価がかさ上げされてる……気がする」と思ったり、「お松が出ていれば、もっと『HERO』の視聴率がとれたはず」「人々はみな、May J.ではなく、お松の『ありのままで』を望んでいる」といった最近の風潮に「そこまでお松って偉大かしら」と違和感を覚えたりしつつも、どうしてもお松のことが嫌いになれないアタシ(単純)。もし今年の紅白に『アナ雪』コーナーがあるなら、やっぱりお松にも出てほしいわ!
 ただ、人々の期待があまりにも高まりすぎていて、「紅白を境に、バブルが弾けるんじゃないか」と、他人事ながら少し心配。どうか、サントラと比べてそん色ない歌声を聴かせてくれますように……。

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。
twitter:@esmralda001

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