
《後編》80年代は低視聴率男だった!? 高田純次伝説

実は初代ブラックデビルだった
前編で紹介した『元気が出るテレビ』のエピソードを見る限り、とんとん拍子でブレイクしたかのように見える高田純次だが、苦難の歴史があったことはあまり知られていない。
1981年から1989年まで放送された『オレたちひょうきん族』では、ビートたけし演じるタケちゃんマンの敵役であるブラックデビル役に抜擢されるも、第1回目の収録後におたふく風邪にかかり降板。高田の代役を務めた明石家さんまがそのままレギュラーとなり、チャンスを逃している。
その後も『ザ・ベストテン』の後番組として1989年にスタートした『音楽派トゥギャザー』の司会を務めた際には、わずか10回で終了したことから「最低視聴率男」という不名誉なレッテルを貼られてしまったこともある。
ただ現在の活躍ぶりを見るかぎり、高田は固定された役割を任されると失敗してしまうのかもしれない。証明するかのように、高田はクイズ番組のパネリストになると本領を発揮し、クイズ番組ブームに貢献している。過去に高田が出演した主なクイズ番組を見ても、『ヒントでピント』『クイズ世界はshow byショーバイ!!』『マジカル頭脳パワー』と人気番組がズラリ。頭の回転の早さと自由にアドリブを発揮できる環境を自在に使いこなし、クイズ番組になくてはならない存在となった。しかもこれらのクイズ番組には多くの芸能人が出演したが、今も第一線で活躍しているのは高田純次を筆頭に、久本雅美、所ジョージくらいのものだろう。
フィギュア好きという意外な趣味も
そして、現在もテキトーな体当たり企画を実践中だ。DVDの企画では新宿二丁目に潜入し、仮面舞踏会のような面をかぶってゲイにインタビューした。怪しげなおじさんが用を足している最中に「刑事さんですか? 僕は純次なんですよ。今、何リットルくらい出したんですか? これ『人間が一日に何リットルくらい小水できるか』っていう番組なんですよ」と果敢にも声をかけ、座って談笑するゲイのカップルには「いまセックスの途中ですか? ラジオの『石炭のできるまで』って番組なんですけど。猫ひろしと舘ひろし、どっちが好きですか?」などウマいのか失礼なのか絶妙な質問をぶつけ、相変わらずのキレのよさを披露した。
このように、視聴者が全く予測できない行動を取るのも高田の魅力で、『関口宏の東京フレンドパーク』ではダーツをせずに金貨を持ち帰ったこともある。
さらに多趣味なことでも知られ、『嵐にしやがれ』に出演したときに「いろんなフィギュアを集めてる。こういう女の子だけじゃなくて、スゴイ宝物もある」と発言。フィギュア収集という意外な趣味を告白している。さらに高田は大の読書家であり、その辺りの引き出しの多さが臨機応変なボケを次々と繰り出せる理由だろう。
現在68歳の高田純次だが、代わりを務める芸能人はいない。現在の消化不良気味のクイズ番組からは、高田のようなキャラクターが生まれることはないだろう。これからも身体を自愛して、唯一無二の存在として我々を楽しませ続けてもらいたいものである。
(文・編集部)
オススメ書籍:『人生の言い訳』(廣済堂文庫) [文庫]/著:高田純次
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