
東京の角打ち(酒屋の立ち飲み)はなぜ串を箸代わりにするのか

「角打ち」に隠された秘密とは!?
酒屋に併設されている「角打ち」(簡易的な立ち飲み酒場)では、なぜか酒以外は「乾き物」「駄菓子」「缶詰」しか出てこないことがある。そしてなぜか箸を使わず、串を2本使って箸代わりにしたり…。
筆者も日頃、この串を箸代わりにさせる理由や、特に東京の「角打ち」では乾き物や駄菓子系しか提供されない店舗がよく見られることについて、疑問に思っていた。だが、とある関東地方某所の「角打ち」を経営する店主に聞いてみたところ、この謎が氷解した。せっかくなので、共有しておきたい。
「角打ち」や立ち飲み店の一部が串を箸代わりにさせる理由は、かつて保健所がかなりうるさかった時代の名残りらしい。どうやら箸を提供すると酒店ではなく飲食店営業となってしまうからなのだそうだ。なので、串を箸代わりにしていたのだそう。これは、現代でも宿泊施設でないマンガ喫茶が枕を提供できないのでクッションを代わりに貸すのに似たウラワザ的逃げ道だが、やはり同じようなことは遠い昔からあったのだ。(ただし最近の立ち飲み店は飲食店営業にも係わらず、あえて昔っぽさを出すため、箸を串にしている店舗もあるのですべてがその理由とは限らない)。
駄菓子などを提供するのも、同じ理由。酒屋の免許だけで展開した場合、調理した物を提供できない縛りがあるらしい。建前としては「酒屋の客が、買った帰りに(酒とつまみを)勝手に封を開けて酒盛りをしている」という体なのだ。
といっても、「角打ち」でもおいしい調理物を提供している所もある。その場合は、飲食店として店舗が申請されているのだそう。なるほど、その違いか…。
実は、前述の駄菓子程度しか提供しない飲食店営業でないところでも、箸を持ち込ませたり、食べ物を他店から持ち込むのを黙認したりという、やはり脱法的な抜け道もあるとか。確かにいつも保健所が監視しているわけではないので、やっているところもあるはず。「角打ち」って意外と法律ギリギリのところで展開していたんですね。
(文・編集部I)写真:角打ちの一例
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