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サブカルチャー 2016.05.27(金)

女子大生シンガー刺傷事件で思うこと:ロマン優光連載58


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第58回 女子大生シンガー刺傷事件で思うこと

 1989年にアメリカで起きた「レベッカ・シェイファー殺害事件」。人気テレビドラマに出演していた彼女がストーカーであるロバート・ジョン・バルドに殺害された事件だ。ロバートは彼女のファンで何通もファンレターを送りつけていており、彼女から返信を貰ったことがある。レベッカとロバートの直接的な関わりはそれだけだ。過剰な接触ビジネスもSNSによる交流も関係ない。テレビの画面を通して一方的に恋愛感情を持たれ執着され、普通のファンサービスの一貫としてファンレターに返信したことで、「彼女も自分のことを愛している」と勝手に思い込まれる。レベッカがラブシーンを演じたことでロバートは激怒。探偵をやとって彼女の自宅をつきとめ、レベッカを射殺する。アメリカでストーカー禁止法が最初に施行されるきっかけになった事件だ。

 小金井女子大生刺傷事件の容疑者のようなタイプの人間は昔から一定数存在している。何がきっかけで執着の対象になるかもわからない。岩崎容疑者が並行して複数の女性に興味を示していたように、ロバートもレベッカと並行して他の女性にもストーキング行為をしていた。タイミングが少し違えば他の女性が被害者になっていたかも知れない。
 マイナーなシンガーソングライターだろうが、地下アイドルだろうが、ハリウッドセレブだろうが、コンビニの店員だろうが、普通の学生だろうが、みんな彼らの対象になる可能性を持っている。ストーカー犯罪というのはストーキングされる方に落ち度があるわけではなく、理不尽に襲いかかる場合が多いのだ。こういった犯罪が起こる度に、未だに被害者に落ち度があったかのような「大衆受けのいい物語」が垂れ流されるのは本当にひどい話だと思う。
 報道の多くが被害者の肩書きを「アイドル」から変えていく現状の中、フジテレビは未だに被害者・冨田真由さんをアイドルとして報じている。そもそも、冨田さんがアイドル役を役者として演じたのはフジテレビが制作したドラマの中でのこと。彼女が地下アイドルとは関わりがない活動をしていたことなど、すぐに解るはずだ。また、地下アイドルの行き過ぎた接触ビジネスの例としてあげられた「CD2000枚で温泉旅行」というような特典は、フジテレビで放送された番組の企画から生まれたアイドルが行ったもので、テレビ局主導で考えられたものだろう。自分たちで考えたものを、素知らぬ顔で「地下アイドルは異常なんです」と言わんばかりに報ずるのはさすがにどういうものか。だいたい、最大級のアイドルイベント・TIFを主催してるのはフジテレビなわけで、理解に苦しむことはだはだしい。

ロマンポルシェ。は「お笑い芸人」ではない

 マスコミだけが変なわけではない。「冨田さんはシンガーソングライター、役者として活動してる人で地下アイドルではありません」という主張に対して、「容疑者はアイドルだと思ってたからアイドル」とか言い出す人がいるが、「彼女は報道で言われているような地下アイドルとしての活動をしていたわけではない」という話に対して全然意味がわからない反論だ。アイドルの定義とかいう話じゃなくて、狭義の職業としての地下アイドルであるかどうかの事実関係についての話なのだから。
「アイドルでもシンガーソングライターでも、どっちでもいいじゃん」という話をする人たちは、興味ないならネットに書かずに飲み屋ででも話してればいいのではないだろうか。わざわざ発信するならば、「被害者のことなんかどうでもいい」という悪意の表明と取られても仕方ない。無神経だと思う。
 彼女がシンガーソングライター現場で活動していたことで、シンガーソングライター現場のヤバい客の話がクローズアップされて、短絡的に「シンガーソングライター現場ヤバい。地下アイドル現場安全」みたいになってしまうとしたらおかしな話だと思ってる。地下アイドルにいるヲタクの大部分は無害な存在であるし、今回のような凶行に及ぶくらいの危険な人物はそうそういないが、ネットや現場での振る舞いが確実にヤバい奴は実際にいるわけで。Twitterでアイドルからリプがこないと夜中に「こっちは遊びじゃねえんだ」(どう考えてもヲタ活は遊びです。)みたいな恫喝リプを毎日送りつけては朝方に消してる人。アイドルに佃煮を送ったけど、当然若い子だからあまり喜ばないので、「あいつらみたいな味のわからないやつは化学調味料の入ったものだけ食ってろ」と発狂する人。「廃止になったローカル線を復活させるために自分の作ったオリジナル曲を歌え」と意味不明な主張をしながら鉄道好きなアイドルに迫り続け、出禁になってもまだTwitterでその話ばかりしてる人。運営の努力とヲタクの自治によって、こういった人たちを排除していってるわけだが、大多数のヲタクは無害なのも、また事実。アンダーグラウンドなバンド界隈にだって若い女性バンドや若い女性メンバーをストーキングする奴とか昔から存在していたが、大多数は当然無害な存在。シンガーソングライター現場だってそうなんだと思う。若い女の子が人前に立って活動をする界隈にはジャンルを問わずヤバい奴が寄ってくるもんだし、客の数が少ないほどヤバい奴が活動しやすいのは確かであり、問題の本質はどこも変わらないわけで、どこそこがヤバいとか騒ぐのは何か違うのではないか。
 変な話だが、自分が何らかの事件に巻き込まれて「お笑い芸人」として報道されたら凄くいやだと思う。自分は確かにロマンポルシェ。という笑いの要素を含むバンドをやってきたし、芸人の方と対バンをしたこともあるわけだが、お笑い芸人かと言われると違うわけで。芸人を目指してるわけでもないし。芸人が嫌いとかそういう話ではなく、本人の志す方向性を認めてほしいというか。冨田さんもシンガーソングライターを志して活動してきたのに、他人が「アイドル」と言うのは凄く本人に失礼な話だと思う。本人の意志をないがしろにするなんて。地下アイドルでないのに「地下アイドル現場の闇」の象徴にされているような現状とか、本当に理不尽な状況でしかない。冨田さんが自分の活動にかけた想いを尊重しなければいけないのではないだろうか。「どっちだっていいじゃん」とかそういうことではない。自分の身になって考えてみてほしい。ただでさえ理不尽な凶行にあったのに、その上自分が自分でない人間に仕立て上げられるとか、酷すぎる話ではないか。そこを汲み取らないでどうするのか、ということなのだ。

 結局、自分も事件をだしに駄文を書き連ねてると言われても仕方がないわけで、何か言う資格もないとは思うのですが、冨田真由さんの一刻も早い回復をお祈りいたします。

<隔週金曜連載>

写真:当日のフライヤー(※部分モザイク処理)

【ロマン優光:プロフィール】

ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。

おすすめ書籍:「日本人の99.9%はバカ」/ロマン優光(コア新書)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13104590/

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

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