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サブカルチャー 2016.01.08(金)

ベッキーに何が起ったか:ロマン優光連載48


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第48回 ベッキーに何が起ったか

 ベッキーのことをこんなに時間をかけて真剣に考えるのなんて何年ぶりなんでしょうな。下手したら『o-daiba.com』の放映時以来だから、16年ぶりぐらいかも。リアルシスターズ懐かしいなあ。ベッキー、栗山千明、須藤温子、松本まりか、宮﨑あおい、と今考えても素晴らしい面子でね。って、メンバーに不倫騒動起こるのって二人目とかなんなの! ベッキー!  モンキー! ウッキーなのだ! とか言ってる場合じゃないよ!
 不倫というのは誉められたものでは決してないですけど、石田純一さんが底抜けの善人だということからもわかるように、不倫する人が悪人かというと別にそうではないわけで。人間というものは弱いものだから、パートナーのいる人が好きになってしまったり、パートナーがいるにも関わらず他の人を好きになってしまったり、好きの気持ちに抗し難くなってしまうのは仕方ないことだとは思うのですね。同時に必ず傷つく人が出てくるわけです。でも、結局は本人たちとリアルの周りの人たちの問題でしかなく、本人たちがそれがいかなるものであろうともリスクを背負って生きていけばいいだけで、関係ない人間が悪人呼ばわりしたりするのは基本的には違うとは思うのですよ。会見の内容とかいっても、あんなの事務所主導なんだから、事務所がバカだなというだけで本人責めてもしょうがない話。基本、タレントは事務所には逆らえないもんだし。でも、配偶者のいる人間が別の相手を実家に連れていくのはさすがにいかがなものかとは思うし、こっそり外堀埋めていく感じが本当にいやらしいし、そこにノコノコついてっちゃうのもバカみたいだし、ドンびきしました。
 先日、人といる時に、たまたまラジオから「好みのタイプはベッキーさん」という話が聞こえてきて、驚きのあまり、二人で「?」と顔を見合わせてしまいました。「その男はとんでもない嘘つきなのか?」「ゲイの人が偽装するために発言したけど、女性に興味がないためにセレクトを失敗したのでは?」「とんでもない心の闇を抱えてるド変態なのか?」などと仕事そっちのけで、男二人で盛り上がってしまいました。一緒にいた彼は20代後半なんですが、世代を超えて「ベッキーに女性的魅力は感じられない」という認識が男性には広く蔓延しているというわけです。あの過剰で不自然なポジティブさが鬱陶しいというのもありますが、そこに完全に無理してる感が出ており、逆に心に深い闇を抱え込んでしまってるのではないかという疑惑が生まれてくるわけでして。あの微妙に漏れてくる病んでる感じが男性の心を萎えさすのではないでしょうか。そういえば、ベッキーさんが急に友川カズキが好きだといいだした時に、「この人、本当に心がツラいんだな…」と思ったのを思い出します。でも、その日の『金スマ』でベッキーさんが歌ったのは中島みゆきさんの曲だったんですが、なんだったんですかね。まあ、そんなベッキーさんに今回のような騒動が起こるなんて予想外でしたよ。
 いや、私にはベッキーが好きだったころはあるのです。2000年前後の数年間のベッキーは本当にかわいくて魅力的だったんですよ。そういうと、私がロリコンだからではないかと言われるかもしれないですが、松本まりかさんや、黒川芽以さんはあの頃より今の方が好きなのでロリコンではないと信じたいところです。今は亡き石丸電気のイベントで、数々のイベントを台無しにしてきた厄介で有名なヲタクのやかりを拾いながらトークを回して無事イベントを成立させたという頭の回転の速さと舞台度胸を発揮した話を聞いたり、この頃のベッキーはいい話しかないんですよ。おはスタでゾベッカやってる時とかムチムチしてる頃で妖精ベッキーの衣装が似合ってて良かったですよね。『o-daiba.com』のコメディ演技とかも最高でねぇ…。かわいかったなあ。ベッキーが『おはスタ』の英会話コーナーでデビューしてからの数年間は本当に良かったんですよ。今となっては嘘みたいだけど。

どうしてここまで嫌われるのか

 そんなベッキーが何で、こんな悲しいことになってしまったんでしょう。『o-daiba.com 』の他の出演者を見てください。みんな、その後は女優さんになっていますよね。ベッキーも一時期はそれなりに女優業もやっていたんですよね。演技下手というわけでもないんですよ。コメディ演技とかいいと思います(うざい女の子の役とか、ちょっと勘違いしている女の子の役とか非常にはまってて、現在もバラエティーでたまに見せる、芸人見下しや勘違いぶりもある程度は演技なのかも)。でも、ベッキーのハーフ然とした容姿では役が限られてしまいますよね。あて振りでないと難しいと思います。バラエティー中心にいかざるを得なかったのでは。そして、TVアイドルからバラエティー中心のTVタレントに脱却する際に彼女が選択したのが、あの「超ポジティブ・キャラ」だったのではないでしょうか。こりん星人とあまりかわらないというか。いや、あれが完全に嘘だというんではないんですよ。ベッキー本人は真面目ないい人なんだと思います。真面目ないい人だって、本来色んな側面があります。ベッキーだって色んな側面があるはずです。真面目ないい人が真面目ないい人を演ずることを一生懸命がんばった結果、陰の全くない歪な人物像が生まれてきたかと思うと悲しいことです。無理は結局 どこかで破綻するわけで、それが今回だったんでしょうかね…。彼女のコメディエンヌとしての資質を生かせる、ちゃんとしたコント番組がたくさんある時代なら、また違っていたのでしょうか。
 その他のベッキーの嫌われるポイントというのを考えてみると、発言が糞真面目すぎたり、性に潔癖すぎたり、うるさかったり、少しセンスがダサかったり、ポエムなものが好きだったりするところなんですが、これら全てが少女としては美徳であり、アイドルとしての美徳なんですよ。見る側の捉え方が変わってしまっただけで、ベッキーは実際のところ全然変わってないのかもしれません。ファンのために彼氏をつくらない宣言も少女時代にはありでもアラサーの大人では痛々しいだけです。かって美徳と捉えられていた点が痛い点、不快な点に変わってしまうなんて悲しい話です。でも、人はやっぱり大人にならなくてはいけなくて、大人は大人としての何かを持ってなければいけないんでしょうね。
「将来のことを考えて、社会的常識を身につけるためにもアイドルは学校にちゃんといくべき。」という意見があります。ベッキーって、ちゃんと自費で大学までいって、普通のバイトしたりしてた人なんですよね。ほんとに真面目な人なんです。将来、お宝写真になってはいけないと水着の仕事を断るようなプロ意識を持ってた人なんです。そんな人がこんなリスキーなことをしでかすなんて、なんとも言えないっすよね。そう、かってのベッキーのことを思い出すたびに私の心はキリキリと痛くなるのです。奈良沙緒理さんが幸せであってくれるといいな。

 ねえ、レイモンド。どうしてこんなことになってしまったんだろうね…。

<隔週金曜連載>

写真:2009年9月3日に開催された第6回 The Beauty Week Awardの一コマ

【編注】※o-daiba.comは2000年から2002年に放映されたフジテレビの深夜ドラマ番組シリーズ。URLは現在アクセス不可。

【ロマン優光:プロフィール】

ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。少女閣下のインターナショナルの里咲りさに夢中らしい。

おすすめ書籍:「日本人の99.9%はバカ」/ロマン優光(コア新書)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13104590/

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

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