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    実話BUNKAタブー2月号

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サブカルチャー 2014.07.11(金)

BiSに関する個人的な2、3の出来事:ロマン優光連載9

 


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第9回 BiSに関する個人的な2、3の出来事

 うかつに横アリに人から誘われていってしまったので編集氏にお題にされてしまったわけだが、BiSに対する自分のスタンスというのは常に「友達に研究員がいる、たまにライブを見に行く人」というもので、最後の体制になってからはご無沙汰していたような人間であるから、特にたいした話もないのだが、解散というのはいい機会ではあるので、それなりに自分の思っていたことを書き残してみようとは思う。嫌いなところが山のようにあるのに好きなところが相変わらずあって嫌いになりきれない、そんなグループでした。
 自分が一番BiSを気にかけていた頃というのは、ファーストアルバムが出てから『primal』が出るくらいの間で、ようするにナカヤマユキコさんが在籍してる時ということになり、あの頃の曲とナカヤマさんがいた頃のライブが好きだったのです。マネージャーの渡辺淳之介氏が打ち出してくるスキャンダルな仕掛けには、当時から今にいたるまで興味はあまりないというか苦手でした。淳之介のやり方というのは90年代後半から00年代頭にかけての「汚い方のサブカル」というかコアマガジン系のコラム(コシノジュンコ加入とか『BUBKA』の掟さんの連載っぽさが凄くある)、「スキャンダルを営業に利用できない経営者云々」を想起させる昭和のプロレスっぽさがあって、当時良くあった「おもしろければ何でも良い」的なある種無責任な思想を愚直に露悪的に現実で実行してしまったような感があり、個人的にはメンバーにかけられていく負荷が見ていてきつかったです。やめちゃったりするし。あと、淳之介というのはデリカシーがない人で、ロマンポルノを楽しむ趣味人のサークルに乗り込んできて「お前らエロが見たいんだろ!」と生の女性器を顔面に押し付けてくるようなセンスの持ち主なんですよね。2011年ぐらいにはTwitterのつぶやきに何にでも、ももクロハッシュタグをつけて呟いてて本当にうざい感じでした。だからといって私が淳之介が嫌いかというとそうでもなくて、やってることは嫌なんだけど、あの人のことはなんとなく好きです。

 BiS階段をさして音楽的に冒険しているという言い方をする人もいますけど、BiS周辺には現役でノイズやってる人脈(具体的には“恥骨”とか)もあるのでノイズやろうとしたら何時でもできたわけで、重要なのは非常階段という伝説に乗っかってくことだったとは思うんですよ。淳之介はそんな人です。HMV渋谷の閉店の時期、当時店員だった通称・HMV佐藤氏(HMV店員→ももクロstaff)の「ももクロ階段」(確か、同日にももクロと非常階段が別のフロアでインストアイベントをやっていたと思います)という発言を目にしたJOJO広重氏がその実現に興味を示し、それ自体は実現できなかったけれど、アイドルとのコラボというアイデアは残り続け、それがBiS階段として結実したわけですが、ももクロの移動イベントを1日追いかけ回したり、「ももクロとドイツのノイズを一緒に聞いてる人に聞いてもらいたい(淳之介)」と発言したり、積極的にももクロに絡んでいこうとしていたBiSがももクロから端を発したアイデアを現実化したのは個人的には感慨深いです。
 BiSと言えば研究員というぐらいフィーチャーされがちな研究員さん。古参の研究員さんのイメージというのは「今まで接触に力を入れてない音楽的な部分の強い上品な現場にいたサブカルで普通の人たちが、チュッパー(Chu!☆Lipsのヲタの総称)のような狂気に満ちたハードコアな湧き方をする人たちみたいなことをやりたくて頑張ってる」というもので、こういう人たちが過剰接触の罠にはまりながら段々本気でとち狂ってくる過程は端から見ていて凄かったと思います。一部の人たちではありますが、ナカヤマユキコさん脱退前後の時期のメンバーに対して罵倒のリプやツイートをしまくるヒステリックな様子とか、中参をネット中傷で追い出しにかかる性格悪い様子とかビビりました。今の大多数をしめる新規の無邪気なBiSファンのことを研究員と呼ぶのは自分の中では違和感があって、やっぱり自分の中ではあの「知識豊富で心が狭くて性格の悪い狂いたがってる古参」こそが「研究員」なのです。あの人たちが本来の資質では生きにくかろう最近のBiS現場で頑張ってる姿も感慨深いものがありました。追い出しの張本人が追い出した人に謝ってる様子を最近何度か見たのですが、時の流れというのは早いものですね。

ヒラノノゾミのアイドル性

 BiSというのはよく「アイドルの枠を超えた」「アイドルなのに○○をするから凄い」という風に語られがちなグループだけど、個人的にはある時期以降のBiSは「アイドルというシステムを取り入れることでオルタナティブなロックの枠を超えたグループ」で、そこが凄いと思ってます。 ロックとしては手垢のついたような伝統芸能的な「過激」な表現が、アイドルというフィルターを通すことで新鮮に生まれ変わったり、いわゆる「音楽」のライブとは違う「接触などをへることで高まっていくメンバーへの過剰な思い入れからくる恋愛にも似た熱狂」が「音楽」のライブしか知らなかった人の脳内麻薬を過剰に噴出させていく様子とか、アイドルというものの持つ強度を効果的に使ってるなあと。それをアイドルというシステムを利用しているとは、あまり思わなかったのは、最後までヒラノノゾミさんがいたからかなあと思ってます。ノゾ氏(自分にとってはのんちゃんのままですが)というのは不思議な存在で、初期の彼女はルックスが良いわけでも動けるわけでも歌が良いわけでもないのに人を引きつける力をもつ人でした。BiS嫌いの友人にノゾ氏の容姿を酷い言葉で形容される度に「でも、のんちゃんは可愛いんだよ」と言ってきたわけで、実際に会うノゾ氏は色んなマイナス要因を飛び越えて可愛いんですよ。そう初期のノゾ氏という人はわかりやすい才能を一つも持ってないかわりに、たった一つだけアイドルにとって最も必要な愛されるという能力だけを過剰に持ち合わせてる人だったと思うし、最近見たノゾ氏もやはり可愛かったのでした。異端のアイドル扱いされるグループ、最終的にはアイドルというベクトルすらとってなかったグループに、アイドルにとって一番大切な愛される力だけが過剰に備わっている人が居合わせたのは不思議なこととも思うけれど、逆にそれしか持ち合わせてなかった初期のヒラノノゾミさんはBiSでなければステージに立ててなかっただろうなとも思います。

 ミチバヤシさん(辞めてからあとも現場に呼ばれてもないのに来ちゃうチャラさも含めて、わりと好きです)くらいまでのメンバーは「アイドルになりたいから入った」「入ったからには自分なりにアイドルをやらなければいけない」という気持ちでいたような気がしますが、それ以降の人は「BiSがやりたくてBiSに入った人」だと感じていて、その間に大きな変化が生まれたのでは感じます。自分はそこらへんでご無沙汰になってしまったのですが。
 何人かはBiSでなければ人前でステージに立てなかっただろうし、淳之介のやり方でなければ横浜アリーナに立てなかっただろうし、淳之介のやり方はある意味正解だったのかなと思います。それだけが正解というわけではないけれども。最終的に残留していた人たちに関していえば、プー・ルイとファーストサマーウイカさんはBiSという枠がない方が活躍できる人だと思うし、他の人たちもそれぞれのスタートを切れるわけで、良かったのではないでしょうか。BiSの残した何曲かはずっと好きだろうなと思うし、ストレートに曲が良くてストレートにライブがいい、そんな最高な時間を何度かくれたグループでした。
 横アリのこと? 『nerve』で席遠すぎでユケが全然見えなくてヤケクソでMIXを打ちました。以上。

【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っている。好きなアイドルは、イニーミニーマニーモー。

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