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社会・経済 2014.01.29(水)

新宿・渋谷にラブホテルが多い理由

 


ラブホテルとダムの深い関係

 東京では新宿・渋谷・池袋、上野~西日暮里くらいの間にラブホテルが多い印象がある。ラブホテルは江戸時代の「出合茶屋」にそのルーツを持ち、街道沿いに作られていたということもあり主要街道に集中しているのだが、そのうち渋谷、新宿にずば抜けてラブホテルが多い理由は、昭和の哀しい物語から始まっている。

 いまでこそ渋谷・道玄坂の裏通りに密集するラブホテル群。実は岐阜県白川郷に御母衣ダムが作られ、ダムに沈む街から補償金とともに全国に離散した人の一部が、親類縁者を辿り昭和30年代、渋谷に旅館を開いたことから徐々に集まり形成されたという一説がある。

 御母衣ダムは昭和35年に完成し、彼らの故郷は水の底へと沈んだ。

 しかし、先に移り住んだものから故郷を失い失意に溺れていた人たちも「一晩で米一俵の稼ぎになる」との噂が漏れてくると、農家をやめて続々旅館業に転業したため、結果として同地区出身者に旅館業が多くなったともといわれている。

 一方で不夜城、新宿・歌舞伎町もやたらとラブホテルがある。イメージとしては闇市のドサクサによる土地の成り立ちから在日コリアンだけが経営者だと思われがちだが、そもそも歌舞伎町の土地の主要な場所は華僑系が持っているので必ずしも100%の正解ではない。むしろ韓国系のオーナーは韓流ブーム時に新大久保のホテルを手放し、テナントで巨万の富を得ている。
 だが歌舞伎町においてもやはり、同じ岐阜の「ダムに沈む街」から集まった人たちが多かったようだ。歌舞伎町はホテル経営者グループ「春秋会」があり、そちらも白川郷付近の集落から移住してきた人たちなのだとか。
 ラブホテルではないが、歌舞伎町には白川郷をイメージする象徴的なものが残っている。歌舞伎町のホストクラブのある通りに面してある、観光旅館の「ホテル白川郷」だ。もともとは昭和33年頃「割烹白川郷」として合掌造りを白川郷から移築再現し、郷土民謡、民舞などを披露していたものだという(現在は普通の観光旅館)。当時、白川郷出身者がそのくらいの成功はしていたという証なのだろう。

 いまでも白川郷と新宿の間には高速バスが行き来しているが、彼らがこの地に定着した理由は、古くから交通網的にも移住しやすい環境が整っていたこともあったはずだ。
 大人なら一度は使ったことがある人が多いラブホテルだが、このような興味深いエピソードがあったということはあまり知られていない。あまり派手に触れられたくないということもある。そっとしておいたほうがいい話なのかもしれない。

(文・編集部I)写真:Love hotel, Shinjuku, Tokyo, Japan.jpg / gruntzooki(Flickr CC BY-SA)








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