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社会・経済 2013.06.02(日)

【カジノ合法化考】カジノで大失敗モデルが韓国にあった!


カジノは「マカオ」や「シンガポール」の時代、日本も新たな税財源として注目

 カジノといったらアメリカ「ラスベガス」のイメージがあるかもしれないが、2013年現在、世界No.1のカジノ売り上げ地域はなんと香港の隣にある「マカオ」(約30軒、年間約3兆円、ラスベガスの6倍相当)だ。また、アジアでは日本から飛行機で7時間の「シンガポール」もカジノで成功している(2軒で約5900億円)。その成功ぶりに、体感治安ではまだ不安視されているフィリピンも、カジノに大きくカジを切った。

 日本でもカジノ合法化の動きが以前より加速化している。これは民主党政権時代にも露呈した「財源の枯渇」が大きい。現在の政権では、アベノミクスの「隠し球的」な投入を予定しているようだ。下村博文文部科学相の私的懇話会では「カジノを作れたら売上の相当部分を文化芸術の財源に活用したい」とのコメントも出ているよう、予算の不足する分野の枯渇財源を補うものとしても、またカジノ周辺の街全体的な潤いもあり、観光方面からも非常に期待されている。

 現在は国の観光立国推進ワーキングチームというものが、法律制定への要件とされる犯罪防止などの必要な措置の検討を各省庁で行うように指示をしている段階だ。一方で海外では日本の某スロットメーカーがフィリピンでのカジノ開発交渉をを凍結したり、捜査対象となるなど微妙にネガティブな動きもある。しかし国内では概ねいままでにないムードで交渉事が進んでいるという。なにしろ導入研究自体はもう25年くらいの長期に渡って行なわれている。ついに実現するべき時がきたのかもしれない。

誰もが話題にしない、おとなり韓国の「国民向けカジノ」大腐敗モデル

 日本が目指しているのはシンガポールやマカオのモデルで、統合型リゾートを含めて全体的に地域にお金が落ちるタイプで、シンガポールがカジノ設置後1年でラスベガス規模まで急成長した経緯を考えると、そのストーリーにのせる期待で外資や国内産業からも多額の投資を呼び込める状況なのは確かだ。とはいっても、日本が成功例ばかりを夢見ているのは問題だ。

 アジアには大失敗した先例もある。韓国の国内向けカジノのあるレジャーランド「江原ランド(カンウォンランド)」がそれだ。韓国国内には16軒外国人観光客向けの民間カジノ(パラダイスカジノなど)と、韓国観光公社関連のカジノ(セブンラックカジノ)があるが、それらは自国の人間は入れない。それとは別に唯一韓国人も行けるカジノをソウルから約200kmの僻地に作っていた。江原道地域の廃鉱を再開発した家族型総合観光リゾートを目指したのが「江原ランドカジノ」。1998年当時、雇用創出・消費拡大と地域振興を地元に期待されたそれは2000年に開業したものの、結果としては税収以外では全ての期待を裏切るものとなる。

 税収は炭鉱地域に活かされるのだが、なにしろ利用者が依存症により近隣で自殺、家庭崩壊する姿が多数報道された上、周辺の路上生活者の氾濫、治安悪化、ミスマネージメント、透明性の欠如、犯罪(横領・不正操作など)、政治腐敗(汚職)によって、韓国国内では、カジノに否定的な国民感情を育ててしまった。熱くなりやすい国民性で、全財産をつぎ込みやすいということもあるのだろう。いまでも2:1の割合で「否定派」のほうが多いという。 

 現に江原ランドのカジノ自体は日本人も入ることは可能だが、ソウルの外国人向けカジノとくらべても鉄火場感が強く、雰囲気はよくない。周囲からして異様だ。街には、質屋ばかりが建ち並ぶ。

 ただし、韓国でも外国人向けカジノ自体は、国内向けとは別に成立している。こちらはなにしろ東京都内の消火栓にさえ広告を出しているし、新宿でもトラックを出すほどのPRっぷりで、実際のカジノ内には「日本対策室」もあるくらいの景気の良さだ。(最近は日本人が減ったため中国人に力を入れているが…)。税収は観光広報の資金源となっているため、だから韓流はPR予算があんなに潤沢なのか…ということも透けて見える。

いまのマカオの成功を支えているのは、中国人。日本はちゃんと成功できるのか 

 カジノに対する国家のハンドリングは概ねどこも成功しており、日本でカジノを導入すること自体はもういい加減に「賛成」してもいいのではないか。この国は、JRAにはじまり競艇競輪オートレースなど、公営ギャンブルのハンドリングは一応いままでもちゃんと出来ているからだ。

 だが先程の例のように、一番近隣の国に自国民を対象とした「超失敗モデル」があることを忘れてはならない。また、最成功例となるマカオのカジノが繁栄している理由についても地域的な裏事情がある。「中国人はギャンブル好きなのだけれど国内では違法で、マカオではギャンブルは合法」だから富裕層が大挙してマカオに訪れているのだ。中国南部であれば電車1本で隣の香港まで来れ、そこからフェリー1時間ですぐマカオ。それと競合しようと思った時、日本だとツアーであっても諸般の証明書や(不法滞在防止の)デポジットが要り、手続きがかなり煩雑なうえに飛行機に乗る必要が出る。最近日本には円安で外国人観光客がやや戻ってきたとはいえ、今後も円の動きや国家感情、各種事故次第では外国客がいなくなってしまうわけで、日本がマカオと同じようになりきれる、というわけではない。

 また箱物行政の不得意な日本である。最悪なシナリオとしては、読みが甘い上に日本お得意の規制をかけすぎるた結果、「江原ランド」みたいなダメカジノが大量に現れる可能性もあるのだ。

 より綿密な計画を立てること、また海外の失敗例にも蓋をしないで、そうならない対策を考えることが必要だろう。

(文・編集部I)

写真:Roulette wheel/Håkan Dahlström (Flickr CC BY 2.1)





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