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サブカルチャー

川崎市登戸無差別通り魔事件:ロマン優光連載136

2019.05.31(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第136回 川崎市登戸無差別通り魔事件

 どういう社会でも、共同体から転び落ちてしまう人間というのは生まれてきてしまう。かといって、そういう人の全てが通り魔型の犯罪を犯してしまうわけではない。同じような環境にあっても、1人静かに朽ちていく人もいれば、近隣とのトラブルを抱えながらも迷惑な人どまりで生涯を終える人もいる。
 ああいった犯罪を犯すタイプの人間は自己の抱えた問題の原因を外部に求めがちな性質の人間が多いのは間違いないのだが、同じような資質を持っていても環境によっては平穏無事な人生をおくる人間もいる。どちらかといえば、そちらの方が大多数だ。
 変な言い方だが、結局は運なのだと思う。持って生まれた資質と環境の組み合わせが最悪な形で噛み合ってしまう人間というのはいるのだろう。やってしまう人間とやらない人間の間には大きな断層があるのかもしれないが、向こう側に渡ってしまった人間が我々とかけ離れた怪物であるかのようにとらえるのは違うのだと思う。ほんの些細なきっかけから坂道を転げ落ちるような感じで向こう側に渡ってしまう可能性は誰にだってあるだろう。大量殺人者の多くが頭部にダメージをおった経験があり、それによる脳の機能障害が彼らの凶行を引き起こさせたという説がある。また、外部からの脳への衝撃ではないが、テキサスタワー銃乱射事件の犯人であるチャールズ・ホイットマンからは脳腫瘍が発見されている。あくまで仮説にすぎず、はっきりとした因果関係が証明されたわけではないが、この仮説がもし事実とするならば、誰だって頭部に対する事故や脳腫瘍の発症による影響で、大量殺人者になる可能性があるということになる。結局、これにしたって、そういう経験のある人の大半が普通の人生を終えるわけで、決定的な何かと言えるわけでもない。
 社会から孤立した独身の中年男性を通り魔予備軍のように見なして地域で監視すれば、あのような犯罪は防げるのだろうか? そもそも、ああいった犯罪を犯すのは孤独な中年男に限ったわけではない。金川真大の例のように、若くても社会から孤立し、世間に対して理不尽な憎しみを抱いてる人間などはいくらでもいる。男性だけとは限らない。 名古屋市連続通り魔殺傷事件の伊田和世は社会から孤立した中年女性だった。
 そもそも、どこの誰がその人物を孤立した人間であるかどうか判断するのだろう。事件が起きると、犯人たちの社会から隔絶されていた様子が検証されるわけだが、それは事件が起こったからこそ解ったことだといってもいいと思う。
 地域社会と関わりなく生きている独身者が、他方では趣味の領域で他者と繋がっていて、ある種のコミュニティにちゃんと属していて、充足した日常を感じている場合だってある。また、孤独を愛するだけで、社会に理不尽な憎しみを抱いているわけでもない人も当然いるだろう。そんなことは、はたから見て簡単にわかるようなことではないだろう。近隣の住民と理不尽で暴力的なトラブルを起こしがちな人間に対しては、それは当然警戒してしかるべきだが、そういうわかりやすい人たち以外に対して、どのような基準で線引きをして、どのようなやり方で警戒しようというのか。自警団的発想で異物を監視していこうとすることで、単なる弱者に無用な圧力を加えてしまうだけの結果も生まれかねない。こういったことは不用意に発言したり、実行したりするようなものではないと思う。そんな簡単に対処できることなら、とうの昔にああいった事件は根絶されているだろう。
 犯人に共通する性質などは存在するが、結局のところ、何故彼らが踏み切ってしまったのかなんて、個々のきっかけなんて千差万別であり、はっきりとしたことなんかはわからないのだ。川崎で起こった事件についても、何もはっきりしたことはわからない。
 犯人に対する怒りは当然だ。被害者やその家族のことを思えば、義憤にかられるのも当たり前の話だろう。本当に理不尽で許せない事件なのだから。かといって、小林よしのり氏のような、ある種の耳触りの良さを持つ、いくらでも拡大解釈ができるような、特に内容がないようなことを不用意に言うものではないと感じるのだ。

(隔週金曜連載)

写真:(C)gimyzr 写真AC提供 ※写真は「容疑者宅からテレビとゲームが発見された」という「ひどい報道」のイメージで事件と写真は関係ありません

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