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サブカルチャー

タナソーインタビューを読んで:ロマン優光連載89

2017.08.04(金)


ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第89回 タナソーインタビューを読んで

「タナソーのインタビューが燃えてるみたいなんで、それでお願いします!」というお題が編集氏から届き、元『Rockin'on』副編集長、元『snoozer』編集長、音楽評論家、等で知られる田中宗一郎さんの最近のインタビュー二件
(『黒船Spotifyが日本の音楽文化を救う?』
https://www.fuze.dj/2017/07/spotifyapple_musiccd10_cdspotify_cd_apple.html
『誰がDJカルチャーを破壊してきたのか?』
https://www.fuze.dj/2017/07/dj-culture.html
を読み直したのですが、本題と関係ないところで話題になってるだけで、まあ特に何も問題無い記事ですよね。

『黒船Spotifyが日本の音楽文化を救う?』においていえば、本題とあまり関係ないとこを取り上げた「CDをあまり買わない音楽評論家とはどういうことだ!」という反応が多かったのですが、本文をよく読めば、タワーレコードでCDを買ってないという話題が出てるだけで、別に音楽にお金を費やしていないという話はしてないんですよね。インタビュアーをつとめている金子厚武さんの言う「タワーで買えるようなものに関しては職業柄サンプル版も貰えるし、ストリーミングで試聴もできるから」という理由でタワーレコードでCDを買わないのは別に普通のことだと思います。タワーレコードで手に入るようなものは他の手段で聴くことができ、タワーレコードで手に入らないものは別の方法で手に入れるということを言葉足らずに言ってるだけなのです。
 個人的なことを言えば、ここ5年くらいはタワーレコードではアイドルのリリイベでCDを購入するのと、ついでにメジャーなアイドルのCDを購入することしかしていません。なぜ、アイドルのCDしか買ってないかというと、自分の聴きたいようなジャンルの音楽のCDはタワーでは昔からあまり売ってないからで、アイドルのリリイベが多くなったぶん、昔よりタワーにお金を落とすようになったぐらいです。
 自分はマイナーなパンクとかマイナーなアイドルが好きなので、音源があまり流通されていないため、現場でCDやCD-Rを物販で直接買うということをしてるから、新譜でCDを買う機会が多いですけど、タナソーさんたちが好きな洋楽あたりだと他の方法で音源を手に入れることができるというか、海外ではそっちが主流になっていってるので、そりゃCDをあまり買わないですよね。
 話はそれますが、身銭を切って買った音源ではないと、ただで貰ったサンプル盤だとちゃんと聴かないのではというのもありますが、音楽好きの人というのはいかなる手段をとってでも気になる音楽を聴きたいものなので、サンプル盤だからちゃんと聴かないということはないと思うのです。ちゃんと聴いてないとしたら、興味の無い音源を仕事でいやいや聴いてレビューを書かなければならない時なのではないかと思います。私がまだロキノンを面白案件として扱わず、ある程度ちゃんと読んでた10代ぐらいのころ、ロキノンには、明らかに音源に興味(も知識も)ない人が資料にもちゃんとあたらず、間違った知識と変な印象だけ書いてるレビューがよくあったものです。まあ、ロキノンの場合、筆者が対象に思い入れがある場合も、知識や情報や分析ではなく変な印象論と自分語りが書いてあることが多かったですが。

ダイノジ大谷という男

『誰がDJカルチャーを破壊してきたのか?』は主題としては、ハウスやテクノの流れのDJカルチャーと、EDM以降、フェス以降のDJカルチャーの断絶について考察するのが主題だと思われ、一つの立ち位置からの見解としては正しいと思うし、本来は問題ないと思われます。が、主題とは関係なく、ダイノジ、やついいちろうをディスってるように見える部分が大きく注目されてしまったような気がします。あと、本題について話をしている人はあまりおらず、タナソーさん個人に対する意見がよく出ていたような。
 2つのインタビューが主題とは関係ない部分で話題になってしまったのは何故か? それはタナソーさんが多くの人に嫌われているからだと思います。表現が大袈裟だったり、自分の好きなものを過剰に誉めすぎていたり、ブラックユーモアを狙ってるけど滑っていて単に不快なだけになっていたり、変に尊大だったり、なんか気取ってて偉そうだったり、なんか失礼で偉そうだったり、単に偉そうだったりする印象によって嫌われているのです。元からタナソーさんを好きでなかった人たちに加えて、紙媒体、しかも専門誌という閉ざされた空間ではアジテーターとして優れた特質になっていたそういう部分がネット空間ではマイナスに作用してしまい、新たに嫌う人たちを獲得してしまった感もあります。嫌いがゆえに最初からバイアスがかかってしまい、タナソーさんが悪いように見えるとこばかり目に入ってしまう。また、タナソーがダイノジ・やついを語るという、嫌われ者の自乗みたいな状況は確かにそこだけ盛り上がってしまうのは必然ですよね。
 私は、タナソーさんと音楽的趣味はあわないし、語り口や文章は好きでなく、嫌いですらなくて興味すら持てないぐらいなんですが、本文全体にちゃんと当たらず騒いでる人たちは、フェアでないのではないかとは思いました。
 余談ですが、私はダイノジの大地君のお兄さん(BEYONDS、fOUL、COP ASS GRINDERZといったバンドでドラムを叩いていた)と親しかった関係で昔からダイノジの2人を知っているのですが、大谷くんって本来サブカルチャー的なものにそんな興味持ってなかったような記憶があるんですよ。人気もあり、ネタを書いていた大谷くんの方が圧倒的に上の立場だったのが、大地君がエアギターのチャンピオンになることでピンの仕事が増え、コンビ内のヒエラルキーが逆転してしまい、そこから逆転するためにサブカルチャー方面に進んでいった結果、大谷くんは間違ったサブカルの人になってしまったのではないかなと思っています。ジャイアン・ナイトの後輩芸人への扱いを見たらわかるように、できてるかできてないかはおいといて古い芸人っぽい価値観に憧れてる人だと思うんですよね、彼。今の大谷くんが言及してることに対して本人が本当はさほど興味持ってないんですよ、きっと。理解もしてないし。だから、間違った知識を披露する上に変に感動を煽るような雑な煽りをしてしまうのだと思います。しかし、 確かに色々とおかしなところはありますが、大谷くんをネトウヨと同じと言うのは、レトリックに無理があるし、相手が大谷くんといえど、タナソーさんが失礼すぎです。
 それはさておき、「ネットでは誰が言ったかではなく何を言ったかが重要」というような内容のことが言われてきましたが、「何を言ったかではなく誰が言ったか」というとこで読み手の対応が変わることはどうしてもあるわけで、タナソーさんの場合、自分の過去の言動だけではなく、ロキノンというメディアの過去の行状やその悪いイメージを関係ない部分まで背負わされてしまうところもあるので、色々大変ですね。

(隔週金曜連載)

写真:FUZE『黒船Spotifyが日本の音楽文化を救う?』記事よりサイトキャプチャ(部分引用)
※元記事インタビューへのリンクが飛ばないサイトでご覧の方はURLをアドレスバーにコピペしてください。
【2017.8.4 20:46 再訂正しました】

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【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。

おすすめCD:『蠅の王、ソドムの市、その他全て』/PUNKUBOI(Less Than TV)
http://books.rakuten.co.jp/rb/13292302/

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