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芸能・エンタメ

「シュワルツェネッガー主義」過剰さに溢れた80年代のヒーロー

2018.08.30(木)


本邦初のシュワルツェネッガー研究本

 '80~'90年代に子ども時代、あるいは青春時代を送った者にとって、アーノルド・シュワルツェネッガーは特別な存在だと思います。シュワルツェネッガー主演映画といえば、「これは期待できる」と皆が劇場に足を運び、ゴールデンタイムのテレビにかじりつく。当時は、シュワルツェネッガーが画面上に現れれば、どんな困難な状況もなんとかなる気がしていました。個人的な体験談ですが、私の高校時代の親友は大学受験前に「気合いを入れてくる」と、シュワルツェネッガー主演の「ゴリラ」を観に行っていました。確実にカタルシスを与えてくれる、あるいは何かを鼓舞してくれる存在として、シュワルツェネッガーは単なる俳優以上の何かでした。
 本書はそんなシュワルツェネッガーの知られざるボディビルダー時代から、最新作までを詳細に解説した一冊です。映画秘宝ノリのツッコミ本かと思いきや、それぞれの映画の裏話まで丹念に追った極めて真面目な研究本になっています。
「コナン・ザ・グレート」での成功、悪役として出演した「ターミネーター」でのブレイク、「コマンドー」「ゴリラ」という大作、コメディアンとしての道を模索した「ツインズ」「キンダガートン・コップ」、鬼才監督と組んだ「トータル・リコール」「トゥルーライズ」、そして低迷期からカリフォルニアの知事となり、再び俳優にカムバックするまで。ひとつひとつの作品に触れつつ、シュワルツェネッガーの生涯を追っていきます。著者のてらさわホークさんは1973年生まれ。まさに「シュワちゃん」世代だと思いますが、一大を築いたアクションスターに対し、必要以上に突っ込むのではなく、だからといって持ちあげすぎるのでもなく、淡々と愛情深く綴っています。
 結局、シュワルツェネッガーとはなんだったのか。その答えは、いまだ明確ではありません。てらさわさんが本書で指摘しているように、ポスト・シュワルツェネッガーというべき、ドウェイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサムの映画は、一般の観客も耐えうる内容になっています。ちょっとジャンルは違いますが、あれだけハチャメチャにやってるように見える「ミッション・イン・ポッシブル」シリーズでも、イーサン・ハントは無用な殺しは決してしません。それに比べて、かつてのシュワルツェネッガー映画のめちゃくちゃな殺戮と、ストーリー。どうかと思います。でも、なんだか、そんな、頭空っぽ映画を楽しめた時代が、懐かしいような気もするのです。シュワちゃんがヌッと出てきただけで、「ワー」と盛り上がれた。かつて、そんな時代があったのです。
 コンプライアンスを遵守するミレニアル世代には怒られるかもしれない。でも、とにかくその出演作を見れば「何かすごいものを見た」気持ちになれるシュワルツェネッガーは、やっぱり、ムチャが通用し、アメリカや日本が勢いだけで乗り切れた'80~'90年代の重要なアイコンだったと思うのです。

(文/吉田直子)

書籍『シュワルツェネッガー主義』(てらさわホーク/著)は1,600円(税抜)で洋泉社より発売中

●洋泉社の商品ページhttp://www.yosensha.co.jp/book/b372510.html

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